〜春を呼ぶ妖精たちの祝祭〜【完結】
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この章の夢小説設定ヒロイン≠ユウ
転生トリップ女性
男装している
オンボロ寮生
恋人未満
レオナのお世話係
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無事に翻訳機(鈴)を作ってもらい、植物園内部を見て回った。
重要になる場所は、亜熱帯ゾーンと会場とランウェイ裏の控え室の場所、そして、女王様の玉座の位置。
「うわぁ〜!すげえ!植物園が花でいっぱいに飾り付けられてるぜ!」
「うっ…どこもかしこもキラキラしてて目が痛え…」
『……』ぎゅっ
なまえが心配そうにレオナの袖を握ってみたが、杞憂だった様で、髪が乱れないように飾りの支障のない後頭部付近をそっと撫でられた。
「なんッスかこの豪華な会場は〜〜!植物園の草や花がキラキラした金の粉で飾られて、テーブルの上にはうまそうな飯、飯、飯!!」
「本当にいろんな妖精がいるな。レオナより大きいヤツもいるし、オレの小指より小さいヤツもいる」
「おい。はしゃいでいないで、会場の一番奥を見てみろ」
「奥?…ランウェイと、すげー豪華な椅子があるんだゾ」
そう言われて視線を向けた先には、ステージがよく見える所に設置された玉座。
少し高い所に設置されたそれは、妖精の女王様が座るに相応しく華やかに飾られている。
「ファッションショーの特等席だね」
「あれがこの会場のボス…女王の座る椅子だろうな」
「ああ。つまりラギーたちがティアラのすり替えを行う場所だ」
「ラッ…ランウェイのド正面じゃねーか!!右にも左にも他の妖精がいる!隠れられるとこなんて、椅子の後ろだけなんだゾ!」
「あんな目立つとこでティアラを取ったら、オレたち妖精に捕まっちまうッスよ!」
「すぐ近くに亜熱帯ゾーンがあるだろ。ティアラを手に入れたらすぐあそこに逃げ込めばいい。その先を真っ直ぐ行きゃ裏口だ」
「レオナさん、人ごとだからって簡単に言いますけどねぇ〜!作戦失敗したら捕まって絞られんのはオレとユウくん達なんスからね!」
喚くラギーに溜め息をついたレオナは、ラギーの目をしっかり見て、いつもの様に堂々と宣った。
「うっせーな…失敗する可能性ばっかり考えてピーピー言うな。俺がそうさせないから大丈夫だっつってんだよ」
「…もー!その言葉、絶対に忘れないでくださいね!?」
「ああ、任せてくれ」
「それじゃあ、二手に分かれるぞ」
「頑張ろう!」
『ユウくん、グリム、ラギーさん、気を付けてくださいね』
「なまえもね」
---亜熱帯ゾーン(ラギーチーム)
「ユウくん、グリムくん、よく聞いて。女王の頭から本物のティアラを取って、偽物を乗せるのは、一番手先が器用なオレがやるッス。グリムくんは警備員が来ないか見張る係。ユウくんはショーをよく見て…ティアラをすり替えるタイミングで、オレに合図してください。オレのスマホに、1秒コールして。番号はコレ。音は切ってるから安心していいッス」
そう言って、スマホを取り出し動作確認をする為ワンコールずつ鳴らして、お互いの番号を記録した。
「椅子の裏にいるオレたちからはショーが見えない。だから女王の注意が他に強く引かれた瞬間…会場が一番盛り上がった瞬間に合図をください。ユウくん、勝負は一瞬ッス。気を引き締めて」
「緊張してきた……」
---出演者控え室
「いよいよファッションショー本番だ。この日のために、ヴィルの厳しいレッスンをたっくさん乗り越えてきたよな…オレとジャミルのすげえダンス、妖精たちにどーんと見せて驚かせてやろうぜ!」
「おい、目的を忘れていないか?妖精の郷の女王の注意を引く。それが俺たちに課せられ…」
「わかってるって。でも、どうせならめいっぱい楽しんで、いい思い出にした方がいいだろ?」
「また脳天気なことを…。いつもみたいに途中で振り付けをド忘れするなよ?」
「もう大丈夫だよ。ジャミルは心配性だなぁ」
2人のリラックスした声が聞こえるが、ステージに出ないはずのなまえが緊張で微かに震えていた。
「耳が気になる。チッ、この草なんか意味があるのか?」
『…えっ、?』
「ストールは妖精の羽をイメージしてるらしいが、どう見ても虫……おい、今のはクルーウェルに言うなよ」
『っ、くっ、…ふふ!ありがとうございます』
「そんなに心配するな。必ず虜にしてやる」
『はい!しっかり目に焼き付けておきます』
メイクで服が汚れない様に、そっとストールを握ってレオナの胸元におでこを寄せた。
急な行動にレオナは一瞬ピクリとしたが、心臓の音を聞いて落ち着いたなまえは、ニッコリ笑って離れた。
「お前ら、いつまで喋ってんだ。行くぞ」
---ランウェイ舞台袖
「いよいよだな、カリム。観客の煽りは俺に任せろ」
「おう!頼りにしてるぜ!練習のときみたいに、キレッキレのダンスを披露してくれよな」
「ああ、言われるまでもない」
「なにがあったか知らねえが…昨晩レッスン場に戻ってきてから、ずいぶん気合入ってるじゃねえか」
「ええ、“がけも”のおかげです」
「は?なんだって?」
「俺たちの出番が近づいてきたな。行くぞ!」
「おう!」
司会妖精《続きまして…エントリーナンバー14。今年初参加のグループの登場です!グループ名は…〖俺と召使い〗?一体どんなファッションを見せてくれるんでしょうか。拍手でお迎えください、どうぞ!》
「〖俺と召使い〗…なんて酷いグループ名だ」
「さっき受付に聞かれたから適当に答えた」
「なんでなまえに任せなかった…まぁいい。名前がなんであれ、俺たちは最高のパフォーマンスをするだけだ」
「レオナが失敗してもいいように、オレたち一生懸命頑張るからな!」
「失敗だあ?誰に向かってもの言ってやがる。お前らなんざ、所詮俺の添えものだ。…行くぞ」
---パチパチパチ
妖精A《見たことのない妖精だ。一体どこからきたんだろう?》
妖精B《あのメイクも見たことがないわ。…でもテーマの“エキゾチック”にピッタリね》
「観客がたくさん…ステージの上から見るとすごい迫力だな!」
「落ち着いて、練習通りにランウェイを進もう」
妖精B《綺麗な衣装…見て!あの細かな刺繍!朝の光を布に縫い止めたよう!》
妖精A《どんなパフォーマンスを見せてくれるのかしら》
「衣装への反応は上々」
「クルーウェルのやつ、偉そうにするだけのことはあって妖精にも通用するセンスらしいな」
「よしっ!じゃあもっともっと盛り上げていこうぜ。ヴィル先生の特訓の効果、ここで見せる時だ!いくぜジャミル!」
「フン。羽目を外しすぎるなよ、カリム!」
妖精A《なんて軽やかなステップ…!彼は風の妖精かしら?》
「いい感じだ!(イデア先輩と何度も打って、ようやく理解できた)(完璧に踊るだけじゃ、ショーはだめなんだ。必要なのは、見ている人をも引き込む…)(パッションだ!!)(さあみんな…盛り上がれ!俺のダンスで、1つになろう!)(ここで大技、ウインドミルからのナインティ!)」
妖精B《体を地面すれすれで回転させて…あんなに激しい振り付け、見たことがないわ!》
妖精C《大迫力!もっと近くで見よう!》
「(はぁ…はぁ…よし、ここまでは完璧だ)(次はいつも失敗してた曲のラスト!)(リズムに合わせて3歩進んだら、ターン!それでオレがバッとしゃがんだら…!!ジャミルがバク転!!)(よし、息ピッタリだ!)」
「見ろよジャミル!妖精たちが立ち上がって、俺たちに拍手してる!はははっ、すっげー楽しいな!」
「…ふっ、まあな」
メイシー《あっ、あれはカリムさんたち!》
女王《知り合いなのですか?》
メイシー《はい!とっても素敵…素晴らしいパフォーマンスですね、女王様!》
女王《ええ、とても美しいです》
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