〜夕焼けの草原のタマーシュナ・ムイナ〜【凍結】
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〈放課後〉
「集まったな。リリア、ヴィル。ジャック、よくやった」
「っす!」
「こんなところに呼びつけて何の用?」
なまえの腰に手を回しているレオナに、心底面倒そうに用を急かすヴィル。
「お前らに話がある」
「用件があるのなら、お主の方から来るのが筋ではないか?」
「まったくよ。ジャックが迎えに来なかったら、アンタの呼び出しなんて絶対無視し続けてたわ」
「そうだそうだ!」
「こ、こんにちは......」
「…待て、なんでグリムとユウがいる?」
レオナがジャックを睨みつけると、ビクッと耳を震わせたジャックは素直に事のあらましを吐いた。
「俺がヴィル先輩とリリア先輩に声をかけてるところに偶然居合わせて、勝手に付いてきたんっす」
「にゃははっ。人が集まるところに美味いメシありっていうだろ?」
「聞いたことねぇな」
「邪魔だ。とっとと帰れ」
コントのようなやり取りをしている3人に耐えきれなくなったヴィルが、イライラしたように声を荒らげた。
「そんなことより!さっさと用件を言いなさい、レオナ。でないとアタシたちが先に帰るわよ」
「はいはい。ヴィル様は俺の話が待ちきれないようで。まあ別に悪い話じゃない」
ぐるりとリリア、ヴィル、ジャック、ついでにグリムとユウを見て、隣のなまえの腰を更に引き寄せた。
「大切なご学友であるお前たちを、俺の故郷に招待させていただこうと思ったんだ」
「「!?!?」」
「?レオナ先輩の故郷って……夕焼けの草原にですか?」
「ああ。夕焼けの草原の王都【暁光の都】で今週末にタマーシュナ・ムイナってのが開かれる」
「タマシ…ムイ…」
『たまーしゅなむいな、だよ!グリムくん』
「(お前も言えてねぇけど、可愛いからいいか)」
心の中でニヤけるレオナに気付いたヴィルが睨みつけてきた。
「タマーシュナ・ムイナ。意味は“天からの贈り物”…つまり、雨乞いの祭りだ。毎年、雨期の近いこの時期に行われる」
「おお、耳にしたことはあるが見たことはない。以前から楽しそうな祭りだと思っておったんじゃ!」
「その祭りに参加するために、レオナ先輩は里帰りするってことっすか?」
「で?わざわざそのお祭りに、アタシたちを招待してくれるって?善意なわけがないわよね。目的はなに?」
イライラし始めたヴィルにニヤリと笑ったレオナは今回の目的を話し始めた。
「話が早くて助かるぜ。お前たちを誘った目的は…【キャッチ・ザ・テイル】だ」
「キャッチ・ザ・テイル?聞いたことないわね」
「俺も初耳です。なんなんすか、それ?」
「【タマーシュナ・ムイナ】で行われる対抗競技の名前だ。お互いが頭に付けたビーズ飾りを取り合う。武器や魔法は使わずに、己の身体だけで競い合う肉弾戦…」
「へえ、面白そうだ」
「3人1組のチームで行う団体戦で、16チームのトーナメント方式で行われる。【タマーシュナ・ムイナ】の目玉とも言える大会だ。タ焼けの草原の王族や、諸外国のゲストも観覧に来る」
王族や諸外国のゲストと聞いてグリムが浮き足立った
「だったら賞品もすごいんじゃねえか……?ツナ缶1年分とかか!?」
「もちろん褒美はたっぷりと言いたいが、あいにくと賞品も賞金も出ない」
「…しけた大会なんだゾ」
「にもかかわらず毎回、山ほどの出場者が集まる。なぜなら……優勝チームのメンバーは【サンセット・ウォーリアー】になれるからだ」
…と言われてもピンとこないメンバーであった。
雨乞いの祭り
2023.02.13