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トカゲの歯

 最近ランドールがよく歯を磨いている。会社で。
おれがゴロつくコンタクトを直そうと昼休みにトイレの洗面台に行くと、うがいをしたり歯を磨いているランドールがいるのだ。
はじめは朝に時間がなかったのかと思ってたけど、だとすると昼休み中にやるのには遅いんじゃないかとも考えたし、何よりもランドールが朝の時間管理がそんなにできないタイプだとは思えない。一応大学時代に親友だったから、それについては保証できる。
まあ、もしかしたら昼食後も歯を磨きたいタイプだったのかもしれないし。変なところで几帳面なアイツだ。
 正直言ってめちゃくちゃ気になるけど、まあいつも通り無視してさっさとセリりんと話しに
「……おまえさ、」
「うわ!なに!?」
「ビビりすぎだろお前…」
「いや背後から急に出てきたらそりゃ………つか、一体何の用が」
「用があるのはお前じゃないのォ?」
「…え?」
「お前、最近ずっとオレが洗面台にいること、気になってねぇの?」
「え」
「…まさかバレてないと思ってたの?お前のそのギョロ目で見られれば誰でも気付くと思うけど」
「じゃ、じゃあなんでずっといるんだよ!」
「………なんでだと思う?」
「知らないからきいてんのに…」
「…………あぁそう」
「っておい!だから消えんなって……」
「Ha!消えてねえよ、見えないだけ…」
………何なんだよ!結局教えてくれないのかよ!!
「…マジでわけわかんねーやつ…」
もういいや。セリりんに会いに行こう。


 数日後。
今日もランドールはいた。
ついでに、何故かサリーも。
それに、さらに情報を付け足すのなら、何故か同じ個室から出てきた。
本当にどういうこと?
「ちょ、ちょっと…サリー……?ランドール…おまえら何して…」
「ちっ違、マイク!誤解なんだって…!」
「ナニが誤解なんだよ?誤解じゃねぇよワゾウスキ」
「……ま、マジでなにして…」
「頼むから落ち着いてくれよマイク…!」
サリーは大慌てしているが、ランドールは冷静…というか、何ならこの状況を楽しんでいるようにもみえる。それを見ていると、何だかおれも少し落ち着いてしまった。
「はぁ…わかったよ、落ち着いてきた…ま、まあ、別におまえらがいいならおれには関係ないことだし…」
「全然落ち着いてないじゃないかマイク!だからそういうんじゃ」
「やめろサリバン。アンタが口開くとめんどくさいことになるんだよ」
「ラ、ランドール」
「つか、ミスターNo.1は早く仕事に戻ったらァ?」
「この状況でそういうわけには…」
「なんでわかんないのォ!?さっきも言っただろ!アンタが!口を開くと!めんどくさいことになるんだよ!!」
「…わ、わかった…」
ランドールが半ば強引にサリーをトイレから追い出した。
「…お前、アレだろ?如何わしいことでも考えてるだろ?」
「…ま、まあ、そりゃあ、」
「…ならオレが最近昼間に歯磨いてる理由もわかんじゃねぇの?」
「…ちょっと待って、それは、その」
「…ここで変に大人向けなことは言わない。お前も早く行ったら?相棒が仕事に戻りそうだけど」
「…あぁ、わかったよ」
「でも、その相棒が…………やっぱいいや。ほら、早くいけよ!」
「はいはい……」
……これ以上踏み込むのはやめておく。
おれの為にも、相棒の為にも、元親友の為にも。
うん。またセリりんに会いに行こうかな。
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