食満留三郎
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〜落とし穴に落ちたら〜
「大丈夫ですか?!」
「だ、大丈夫じゃないですっ! ……助けて、ください」
中庭のはずれから、小さな悲鳴とドスンと鈍い音が聞こえ、慌てて駆けていくと――
落とし穴には、小さな身体がぽつんと埋まっていた。鉤縄を近くの木にくくりつけ、するすると穴の中へ降りていく。
「助けに来ました! もう大丈夫です」
「留三郎くん、ありがとう。これで、食堂のお手伝いに間に合うよ」
「まったく、穴掘り小僧のせいだな……!」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで。私も足元をよく見てなかったから」
「怪我はないですか?」
「うん、大丈夫っ」
困ったように笑う彼女の頬には少しの土がついて、着物には敷かれた葉っぱがたくさん絡まっていた。ペタンと足を崩して座っているからか、少し幼く見える。
普段見かけるテキパキと働く姿とは違う雰囲気に、顔がじわじわと熱くなっていく。
「留三郎くん……?」
「す、すみません!」
少しでも動いたら、身体の端が触れそうだ。
こんな窮屈な空間で、気になる人と一緒なんて、どうしようもなく緊張してしまう。
「ここから出ましょう。落ちないように、俺に掴まっててください」
「これでいいかな?」
縄を握りしめると、脱出するべく彼女を背中におぶった。小さな身体は思った以上に軽く、ほっそりしている。それに嗅いだことのない、甘い匂いがする。意識を逸らそうにも、どうにもならない。
土の壁を足の裏で踏み込むたび、ぎゅっと絡められた白い腕と脚に鼓動が高鳴る。手のひらにじわりと汗までにじみ、滑らないようにぐっと縄を握り直した。
柔らかな温もりに気を取られ、次第に進みが遅くなる。俺は何考えてるんだ……!
「ごめん。わたし、重いよね……?」
「違うんです! ……もっと、ちゃんと俺に掴まってくれますか」
「はいっ」
ひときわグッと力を込められ、身体がぴたりと密着すると、背中にむにっと柔らかなものが当たる。
これは――
忍者の三禁の鍛錬でもあるのか……!?
変な想像をすれば、意に反して顔が熱く燃え上がる。
こんな姿を文次郎に見られたら……
くそぅっ……!!
自分でちゃんと掴まれなんて言っておいて、その状況に追い詰められる。
ドギマギしながら、なんとか脱出するのだった。
「大丈夫ですか?!」
「だ、大丈夫じゃないですっ! ……助けて、ください」
中庭のはずれから、小さな悲鳴とドスンと鈍い音が聞こえ、慌てて駆けていくと――
落とし穴には、小さな身体がぽつんと埋まっていた。鉤縄を近くの木にくくりつけ、するすると穴の中へ降りていく。
「助けに来ました! もう大丈夫です」
「留三郎くん、ありがとう。これで、食堂のお手伝いに間に合うよ」
「まったく、穴掘り小僧のせいだな……!」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで。私も足元をよく見てなかったから」
「怪我はないですか?」
「うん、大丈夫っ」
困ったように笑う彼女の頬には少しの土がついて、着物には敷かれた葉っぱがたくさん絡まっていた。ペタンと足を崩して座っているからか、少し幼く見える。
普段見かけるテキパキと働く姿とは違う雰囲気に、顔がじわじわと熱くなっていく。
「留三郎くん……?」
「す、すみません!」
少しでも動いたら、身体の端が触れそうだ。
こんな窮屈な空間で、気になる人と一緒なんて、どうしようもなく緊張してしまう。
「ここから出ましょう。落ちないように、俺に掴まっててください」
「これでいいかな?」
縄を握りしめると、脱出するべく彼女を背中におぶった。小さな身体は思った以上に軽く、ほっそりしている。それに嗅いだことのない、甘い匂いがする。意識を逸らそうにも、どうにもならない。
土の壁を足の裏で踏み込むたび、ぎゅっと絡められた白い腕と脚に鼓動が高鳴る。手のひらにじわりと汗までにじみ、滑らないようにぐっと縄を握り直した。
柔らかな温もりに気を取られ、次第に進みが遅くなる。俺は何考えてるんだ……!
「ごめん。わたし、重いよね……?」
「違うんです! ……もっと、ちゃんと俺に掴まってくれますか」
「はいっ」
ひときわグッと力を込められ、身体がぴたりと密着すると、背中にむにっと柔らかなものが当たる。
これは――
忍者の三禁の鍛錬でもあるのか……!?
変な想像をすれば、意に反して顔が熱く燃え上がる。
こんな姿を文次郎に見られたら……
くそぅっ……!!
自分でちゃんと掴まれなんて言っておいて、その状況に追い詰められる。
ドギマギしながら、なんとか脱出するのだった。
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