野村先生
名前変換
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〜おうちで過ごそ。〜
「すごい嵐ですね…。ちょっと怖いです」
風は強く家を揺らし、ガタガタとした音を響かせる。
大粒の雨も打ち付けているようで、ザラザラとした音も不安を煽る。
昼間なのに暗くて、不気味だ。
もうずっとこんな天気で外出もままならない。
「私がいるから、安心しなさい」
久しぶりの休みでお家に帰ってきてくれたのに、この嵐で。
いつもは忍術学園の教師の仕事が忙しくって、なかなか会えない。
学園の先生って、そういうモノなのか…。
近いようで遠い存在に胸がチクッと痛む。
「……野村先生、いつもいないじゃないですか。今だけ、安心ですね!」
囲炉裏のそばに二人並んで座って、先生は苦無やら手裏剣を手入れしている。
さすが、実技の先生…。黙々と作業する様がよく似合っている。
カチャリと鋭い音を立てながら、熱い眼差しで武器を手入れする姿は男らしくて…。
心臓がどきりとはねる。
先生の高く結った髪も、うねった前髪も色っぽくて見惚れてしまう。
……こんなに好きなのは私だけなのかも。
皮肉を込めた言葉とは裏腹に、本当はぴたりとくっ付きたくてしょうがないのに。
一緒にいられて嬉しいのに、なじるようなことを言って。
……子どもっぽくて、呆れられるだろうか。
「先生…ではないでしょう?」
「……そうでした」
名前で呼ぶ方がいいのは分かってる。
でも、やっぱり恥ずかしくてもじもじしてしまう。
「こんなに素敵な女性に寂しい思いをさせて…バチが当たりますね」
先生はこちらも見ずに作業を続けながら、ドキドキさせるような事をさらりと言ってのける。
悔しいけれど…触れ合いたくなって。
後ろからぎゅっと抱きついてみる。
首筋に顔をうずめると先生の香りに胸がキュンとする。
「そうですよ。…私のことも、その手裏剣みたいに…真剣な目で見つめて、優しく扱って、ほしい…です」
抱きついた勢いで言ってしまった。
……面倒だと思われたかもしれない。
気持ちが抑えきれなくて、さらに腕に力を込めた。
コトリと床に手裏剣を置く音が聞こえて、大きな手が腕を解くように触れられる。
……なんだろう?
力を込めた腕を解放すると、おもむろにこちらに体を向けられた。
恥ずかしくて先生を直視できない。
「貴女は…どこまで虜にさせたら気が済むのですか?」
「え、っ……」
逃げないよう、ほほを大きな手で包まれる。
メガネ越しに絡まる視線に顔が熱くなる。
そっと近づいて優しく口付けされると、冷たい硝子が顔に触れてカチャリと音がする。
幸せで……思わず目をつむって甘い感覚に身を委ねてしまう。
口ひげがくすぐったくて身をよじると、吐息が触れ合う距離でほほ笑み合った。
「貴女のいる家に帰ると……学園に戻りたくなくなる」
「でも、雄三さんに帰ってきて欲しいのです…。おねがい」
いつも余裕な先生の、赤くなった顔が嬉しくて。
またぎゅっと抱きついてしまった。
――家に閉じ込められて鬱々としていたけれど……
こんなに先生を堪能できるなら耐えられるかもしれない。
でも、嵐が止んで晴れたら……
一緒に街へ出かけてお団子食べたりしたいな。
先生の胸にうずまりながら、そんなことを考えて幸せに浸るのだった。
*
「お待たせしました。手入れは終わりましたよ」
途中になっていた手裏剣磨きを終えると、少し離れて座る名前を熱のこもった眼差しで見つめる。
あんなに可愛いことを言われたら、たまらなく愛おしくて。
大人の余裕を見せたい気持ちと、今すぐにでも彼女に溺れてしまいたい気持ちとが混じり合う。
嬉しそうにほほ笑む姿は純真そのもので、自身の邪な思いに少しの罪悪感が滲む。
「お疲れさまでしたっ。……邪魔しちゃってごめんなさい」
「邪魔なんかではないですよ」
「……よかった。」
「これで……心置きなく名前を堪能できます」
ジリジリとにじり寄って逃げないように細い腕を掴む。
赤い顔で視線を彷徨わせる姿に、もう余裕など粉々に散って無くなっていく。
「雄三さんの、好きに……してくださいっ」
「そのつもりです」
可憐なその身体を優しく抱き締め、ふわりと漂う甘い香りを胸いっぱいに吸い込んでそのまま床に倒れ込む。
眼鏡を外してそっと口付けを落とすと、毎週帰宅してしまいそうになる自分に苦笑するのだった。
「すごい嵐ですね…。ちょっと怖いです」
風は強く家を揺らし、ガタガタとした音を響かせる。
大粒の雨も打ち付けているようで、ザラザラとした音も不安を煽る。
昼間なのに暗くて、不気味だ。
もうずっとこんな天気で外出もままならない。
「私がいるから、安心しなさい」
久しぶりの休みでお家に帰ってきてくれたのに、この嵐で。
いつもは忍術学園の教師の仕事が忙しくって、なかなか会えない。
学園の先生って、そういうモノなのか…。
近いようで遠い存在に胸がチクッと痛む。
「……野村先生、いつもいないじゃないですか。今だけ、安心ですね!」
囲炉裏のそばに二人並んで座って、先生は苦無やら手裏剣を手入れしている。
さすが、実技の先生…。黙々と作業する様がよく似合っている。
カチャリと鋭い音を立てながら、熱い眼差しで武器を手入れする姿は男らしくて…。
心臓がどきりとはねる。
先生の高く結った髪も、うねった前髪も色っぽくて見惚れてしまう。
……こんなに好きなのは私だけなのかも。
皮肉を込めた言葉とは裏腹に、本当はぴたりとくっ付きたくてしょうがないのに。
一緒にいられて嬉しいのに、なじるようなことを言って。
……子どもっぽくて、呆れられるだろうか。
「先生…ではないでしょう?」
「……そうでした」
名前で呼ぶ方がいいのは分かってる。
でも、やっぱり恥ずかしくてもじもじしてしまう。
「こんなに素敵な女性に寂しい思いをさせて…バチが当たりますね」
先生はこちらも見ずに作業を続けながら、ドキドキさせるような事をさらりと言ってのける。
悔しいけれど…触れ合いたくなって。
後ろからぎゅっと抱きついてみる。
首筋に顔をうずめると先生の香りに胸がキュンとする。
「そうですよ。…私のことも、その手裏剣みたいに…真剣な目で見つめて、優しく扱って、ほしい…です」
抱きついた勢いで言ってしまった。
……面倒だと思われたかもしれない。
気持ちが抑えきれなくて、さらに腕に力を込めた。
コトリと床に手裏剣を置く音が聞こえて、大きな手が腕を解くように触れられる。
……なんだろう?
力を込めた腕を解放すると、おもむろにこちらに体を向けられた。
恥ずかしくて先生を直視できない。
「貴女は…どこまで虜にさせたら気が済むのですか?」
「え、っ……」
逃げないよう、ほほを大きな手で包まれる。
メガネ越しに絡まる視線に顔が熱くなる。
そっと近づいて優しく口付けされると、冷たい硝子が顔に触れてカチャリと音がする。
幸せで……思わず目をつむって甘い感覚に身を委ねてしまう。
口ひげがくすぐったくて身をよじると、吐息が触れ合う距離でほほ笑み合った。
「貴女のいる家に帰ると……学園に戻りたくなくなる」
「でも、雄三さんに帰ってきて欲しいのです…。おねがい」
いつも余裕な先生の、赤くなった顔が嬉しくて。
またぎゅっと抱きついてしまった。
――家に閉じ込められて鬱々としていたけれど……
こんなに先生を堪能できるなら耐えられるかもしれない。
でも、嵐が止んで晴れたら……
一緒に街へ出かけてお団子食べたりしたいな。
先生の胸にうずまりながら、そんなことを考えて幸せに浸るのだった。
*
「お待たせしました。手入れは終わりましたよ」
途中になっていた手裏剣磨きを終えると、少し離れて座る名前を熱のこもった眼差しで見つめる。
あんなに可愛いことを言われたら、たまらなく愛おしくて。
大人の余裕を見せたい気持ちと、今すぐにでも彼女に溺れてしまいたい気持ちとが混じり合う。
嬉しそうにほほ笑む姿は純真そのもので、自身の邪な思いに少しの罪悪感が滲む。
「お疲れさまでしたっ。……邪魔しちゃってごめんなさい」
「邪魔なんかではないですよ」
「……よかった。」
「これで……心置きなく名前を堪能できます」
ジリジリとにじり寄って逃げないように細い腕を掴む。
赤い顔で視線を彷徨わせる姿に、もう余裕など粉々に散って無くなっていく。
「雄三さんの、好きに……してくださいっ」
「そのつもりです」
可憐なその身体を優しく抱き締め、ふわりと漂う甘い香りを胸いっぱいに吸い込んでそのまま床に倒れ込む。
眼鏡を外してそっと口付けを落とすと、毎週帰宅してしまいそうになる自分に苦笑するのだった。
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