魔界野先生
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〜おうちで過ごそ。〜
「嵐、止みますかね……?」
「うーん、どうでしょう。参りましたねえ」
忍術学園の食堂のお手伝いを中断して、魔界之先生のお家に通販されてやってきたのだけれど……この嵐で帰れない。
着物の裾をたくし上げ、ダンボール箱から抜け出すとお部屋をキョロキョロ見回してしまう。
先生の部屋は所狭しと色んな通販グッズに溢れていて、ヘンテコなものばかり。
だけど、先生にとっては大切なものみたいだ。
変わった人だけど、そんなところも可愛いな……なんてクスッとしてしまう。
「一体、何を頼んだら私が届いたんですか?」
気になって仕方がなくて、ぺたんと座り込み先生に尋ねる。
小松田さんは、小松菜だったっけ。
とんでもないものだったらどうしよう……!
「お酢ときなこを頼んだんです」
「お酢ときなこ……?お料理でもするのですか?」
「ええ、まあ。でも、そしたら……名前さんが届いちゃいました」
「……えー。なんでだろう?」
「すきなこ、ですよ。……あなたのことです」
「あ、あの、それはっ……!わ、私のこと、好いてくださっているのですか……?」
顔を赤くして照れる先生に目が離せない。両方のほほを手のひらで挟んでは、恥ずかしそうに身体を縮こませている。
じつは、私も先生のこと……好きなんです。その言葉が出てこない。
のんびりして、ドクたまに突っ込まれて、八方斎さんに振り回されて、通販で失敗ばかりして。でも、生徒思いで、忍術学園とも仲良くしてくれて。
飄々とした人だから、私のこと……気に入ってくれるなんて思いもしなかった。
「はい。……こんな形で申し訳ないです」
「そんなことないです!わたし、嬉しいです……!まさか、魔界之先生に……そう思ってもらえるなんて、夢みたいで」
「えっと、名前さん……!そ、それは……!」
締め切った先生の部屋で、二人きり。
お互いに照れ合ってドギマギしてしまう。
――ゴロゴロ…
ドーンと一段と大きな雷が落ちて、家が震えた気がする。
思わず、座ったままぎゅっと先生に抱きついてしまった。
薄暗い室内で轟く大きな音は、やっぱり怖い。
「きゃっ……!ご、ごめんなさいっ」
「大きな雷が落ちましたね。大丈夫ですか?」
「……先生、だめです。このままで、いても良いですか……?」
離れたくなくて、さらに先生の身体に腕を回す。
意外とがっしりして男らしい感触に心臓がうるさく鳴って苦しい。けれど、ぷにっとした見た目を思い出してなぜだか安心してしまう。
雷のおかげで、ずいぶん大胆になってしまった。……驚かれちゃっただろうか。
「名前さん。……わたしを見てくれます?」
「なんですか……?」
先生にそう囁かれて、抱きしめる腕をほどき顔を上げる。
両方のほっぺを柔らかい手で包まれて、サングラス越しに見つめ合う。
「これからずっと、あなたを守りますから。安心してくださいね」
「魔界之せんせい……」
のんびりしてる雰囲気とは違って、その真剣な表情に……声色にどきりとする。
熱くなった顔でこくこくと頷いた。
先生の素顔が見たいのに、サングラス越しなのがもどかしい。
「これ、取ってくださいませんか?」
「え、ちょっとそれは……!」
「……取らないと、先生とちゅーできません」
「名前さん……!私も男なんですからね?からかわないてくださいっ」
「えへへ、ごめんなさい」
「……我慢してるんですから」
ポツリとつぶやく先生の顔が、じわじわと赤くなってしまった。
我慢なんてしなくて良いのにな……なんてはしたない事を考えてしまう。
けれど、先生の優しさが嬉しくて。少し距離をおいて座り直し、赤いサングラスを見つめる。
なんだか私も恥ずかしくなって、二人で照れ笑いするのだった。
「時間はたくさんありますから、お片付けしましょうか」
少し落ち着いてから、整理整頓を提案する。良いですね!と、喜んでくれて二人で作業を始めた。
「おうちでできること、意外と楽しいですね」
「あはは。それは二人だからですよ。あなたとなら、なんだって楽しいんです」
ほのぼのとした顔でほほ笑まれ、胸の中が幸せで満たされる。
ほんとに、魔界之先生ってば。
なんて素敵な人なんだろう。
……嵐はもう少しで止むだろうか。
きっかけは、通販の失敗だったけれど……
悪いことも、良いことも、全部ひっくるめて今に繋がってるから。
どんな時も、二人で乗り越えられたら良いな……とヒラヒラした派手な柄の袴をたたむ先生を眺める。
あたたかい気持ちで、にこにこと片付けを続けるのだった。
「嵐、止みますかね……?」
「うーん、どうでしょう。参りましたねえ」
忍術学園の食堂のお手伝いを中断して、魔界之先生のお家に通販されてやってきたのだけれど……この嵐で帰れない。
着物の裾をたくし上げ、ダンボール箱から抜け出すとお部屋をキョロキョロ見回してしまう。
先生の部屋は所狭しと色んな通販グッズに溢れていて、ヘンテコなものばかり。
だけど、先生にとっては大切なものみたいだ。
変わった人だけど、そんなところも可愛いな……なんてクスッとしてしまう。
「一体、何を頼んだら私が届いたんですか?」
気になって仕方がなくて、ぺたんと座り込み先生に尋ねる。
小松田さんは、小松菜だったっけ。
とんでもないものだったらどうしよう……!
「お酢ときなこを頼んだんです」
「お酢ときなこ……?お料理でもするのですか?」
「ええ、まあ。でも、そしたら……名前さんが届いちゃいました」
「……えー。なんでだろう?」
「すきなこ、ですよ。……あなたのことです」
「あ、あの、それはっ……!わ、私のこと、好いてくださっているのですか……?」
顔を赤くして照れる先生に目が離せない。両方のほほを手のひらで挟んでは、恥ずかしそうに身体を縮こませている。
じつは、私も先生のこと……好きなんです。その言葉が出てこない。
のんびりして、ドクたまに突っ込まれて、八方斎さんに振り回されて、通販で失敗ばかりして。でも、生徒思いで、忍術学園とも仲良くしてくれて。
飄々とした人だから、私のこと……気に入ってくれるなんて思いもしなかった。
「はい。……こんな形で申し訳ないです」
「そんなことないです!わたし、嬉しいです……!まさか、魔界之先生に……そう思ってもらえるなんて、夢みたいで」
「えっと、名前さん……!そ、それは……!」
締め切った先生の部屋で、二人きり。
お互いに照れ合ってドギマギしてしまう。
――ゴロゴロ…
ドーンと一段と大きな雷が落ちて、家が震えた気がする。
思わず、座ったままぎゅっと先生に抱きついてしまった。
薄暗い室内で轟く大きな音は、やっぱり怖い。
「きゃっ……!ご、ごめんなさいっ」
「大きな雷が落ちましたね。大丈夫ですか?」
「……先生、だめです。このままで、いても良いですか……?」
離れたくなくて、さらに先生の身体に腕を回す。
意外とがっしりして男らしい感触に心臓がうるさく鳴って苦しい。けれど、ぷにっとした見た目を思い出してなぜだか安心してしまう。
雷のおかげで、ずいぶん大胆になってしまった。……驚かれちゃっただろうか。
「名前さん。……わたしを見てくれます?」
「なんですか……?」
先生にそう囁かれて、抱きしめる腕をほどき顔を上げる。
両方のほっぺを柔らかい手で包まれて、サングラス越しに見つめ合う。
「これからずっと、あなたを守りますから。安心してくださいね」
「魔界之せんせい……」
のんびりしてる雰囲気とは違って、その真剣な表情に……声色にどきりとする。
熱くなった顔でこくこくと頷いた。
先生の素顔が見たいのに、サングラス越しなのがもどかしい。
「これ、取ってくださいませんか?」
「え、ちょっとそれは……!」
「……取らないと、先生とちゅーできません」
「名前さん……!私も男なんですからね?からかわないてくださいっ」
「えへへ、ごめんなさい」
「……我慢してるんですから」
ポツリとつぶやく先生の顔が、じわじわと赤くなってしまった。
我慢なんてしなくて良いのにな……なんてはしたない事を考えてしまう。
けれど、先生の優しさが嬉しくて。少し距離をおいて座り直し、赤いサングラスを見つめる。
なんだか私も恥ずかしくなって、二人で照れ笑いするのだった。
「時間はたくさんありますから、お片付けしましょうか」
少し落ち着いてから、整理整頓を提案する。良いですね!と、喜んでくれて二人で作業を始めた。
「おうちでできること、意外と楽しいですね」
「あはは。それは二人だからですよ。あなたとなら、なんだって楽しいんです」
ほのぼのとした顔でほほ笑まれ、胸の中が幸せで満たされる。
ほんとに、魔界之先生ってば。
なんて素敵な人なんだろう。
……嵐はもう少しで止むだろうか。
きっかけは、通販の失敗だったけれど……
悪いことも、良いことも、全部ひっくるめて今に繋がってるから。
どんな時も、二人で乗り越えられたら良いな……とヒラヒラした派手な柄の袴をたたむ先生を眺める。
あたたかい気持ちで、にこにこと片付けを続けるのだった。
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