先生と一緒(男主・特殊設定あり)
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ジョナサン・ジョースターが志位島コウという人物を知ったのは、とある日の昼下がり、愛犬のダニーと庭を駆け回っていた頃だった。使用人に昼食の時間だと呼ばれ、水を欲して乾いた喉のまんま、元気よく挨拶をしたころだった。
「……あれ?あれは……馬車だ!僕のうちに向かってくるぞ」
「おや、ジョジョ坊ちゃんはご存じなかったのですか?」
まぁ!とメイドが目を丸くして教えてくれた。なんでも、ジョースター家現当主の家庭教師が、今日から赴任するそうだ。ジョージの知り合いである男の子どもらしい。ジョナサンよりかは年上だが、ずいぶんと若い青年だと、使用人は教えてくれた。
「今日の昼食はきっとその方もお見えになられますよ。なんでも、アジアの言葉を教えてくれるそうです」
「え~ッ、勉強の話かい?苦手だなぁ……ただでさえ、いつもの勉強もついていけないのに!僕も一緒に学びなさい、なんて言われたらどうしよう」
あからさまに気落ちしたジョナサンに、使用人は微笑んだ。
屋敷にジョナサンが戻るころ、実父のジョージは一回り小柄な青年となにか語らっているようだった。少し遠い場所にいるので聞こえにくいが、「そんな自分が」とか、「遠慮をしないでくれ」とかそういった謙遜している声が聞こえる。きっと腰の低い人なんだ。優しそうな人だ……とジョナサンは少し安心した。
「おお、ジョジョ。帰ってきていたのか。紹介しよう。週に二回、私にニホンゴを教えてくれる先生だ。」
「初めまして、ジョースターくん。コウ・シイジマと申します。」
「はっ、はじめまして……」
その人は不思議な人だった。まるで自分と同じようなきれいな青い目と不釣り合いのように、金がちらほらと混じった黒い髪。背はさほど高くなく、体格も中背で、服の質も自分の身に着けているものより低いんじゃあないだろうか……だけれども、優和な微笑みと優しい口調と声には、ほんのりと優しい気品が感じられて、どこか歳をずっと重ねたように感じる。なんだか不思議になって、首をかしげてしまった。
「おや……ジョースターくんは、日本人を見るのは初めてですか?」
「うん…はい、あんまり。でも、先生の髪の毛は不思議ですね」
「ああ、生まれつきです。あまり人に見せられたものじゃないんですが……すみませんね」
照れくさそうに苦笑する先生の笑顔はやっぱり優しい。ジョナサンは、もしこの人が僕の先生になるのなら、きっと優しい授業になるんだろうな、とひとりごちた。
数週間後。ジョナサンの予想通り、先生はジョースター親子二人を生徒に持っていた。授業内容……といっても、ジョージと先生はいつも、ジョナサンには理解できない言葉で、ジョナサンの理解できない本を語り合っている。ジョナサンの手元には、先生お手製の問題が記されたノート。わからない、といえば、わかりやすく、優しく教えてくれる。間違えたって、激高したり、怒鳴ることもない。どうして間違えていたのか、どうやったら覚えられるか、と相談に乗ったり、正解したときなんかは、自分のことのように喜んでくれた。
その指導方法はジョージにも伝わっているようで、ジョージが勉強を教えてくれる時も、以前のように手をたたかれるようなことはなくなった。
先生の話を聞くのも好きだった。たまに、寝る前に読み聞かせをしてくれるのだ。それは勿論日本語。教えてもらっていない部分はちゃんと意味を説明してくれる。でも、先生の優しい語りを聞くうちに、いつのまにか朝になっていることの方が多かった。
ジョナサンは、ひと月のあいだに、先生が大好きになった。