夜は嘘にふるえてる

由衣には姉がいる。病がちで、いつも家と病院の間を行ったり来たりしていた。その姉が、とうとう「駄目だ」という。
ずっと姉中心で回ってきた家で、いつも居場所がなかった由衣。
母をはじめ他人はいつも由衣に感謝と努力をもとめた。狂ったアイデンティティの中、渦中の姉がいなくなるという。姉はいつも優しかった。けれど、由衣の感慨はそれだけだった――。
姉妹間格差とコンプレックス、尊敬できない自己を持った主人公が、姉の死に向き合う喪失の青春短編小説です。

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