幽霊イコールどうしようもないもの
……とくん
……とくん
列車が通り過ぎていく。
大勢いた人は列車に乗り込んでしまったのか、ホームがしんと静まり返っている。
「………………?」
地に足が着いている。
電車に当たった感触もした。なのに。
左腕が誰かに掴まれているのに気づく。
チカラの抜け切った体を捻って後ろを向けば。
「…はぁ…はぁ……、間に合った…」
血の滲むジーンズも気にせず、必死に、繋ぎ止めるように腕を強く掴んでいる。
FBは体力もないのに、無茶して。
「よかった……よかった……!!」
腕を掴んだままボロボロと泣き出すFBに、彼の感情の豊かさが垣間見えた。
手からつたわる体温が懐かしくて暖かくて、つられて泣きそうになる。
しばらく、この暖かさに甘えていたかった。