権兵衛が連れて行かれ一ヶ月が経った頃、俺のもとに一通の手紙が届いた。

"ベラミーさんにとっては立ち寄った島で仲良くなった一般人程度の認識しかないと思いますが、気になったので手紙を送ります。

あの日、あんな別れ方をしてから一か月が経ちました。ベラミーさんは今でもジャヤにいますか？それとも冒険を再開させましたか？
あれから一度も戻れてないのでわかりませんが、冒険に出ていることを願って続けます。
私は、あの頃と比べると色々な面で余裕ができ、何不自由ない生活をしています。ドフラミンゴさんのお仲間さんとも仲良くできています。
……正直な気持ちを書くと戻りたいとは言いませんが、あの頃がやっぱり楽しかったなと思うくらい過去になってしまったのが少し寂しくあります。

私は今、幸せに暮らせています。
最後に一言。ベラミーさんに幸多からんことを。"

思わず破り捨てそうになったのは言うまでもない。それでも破らなかったのは、権兵衛への想いを消し去れてないからだ。


「ハハハハハハ！いや、誤算だったな。まさかあのドフラミンゴが惚れるなんてな、思ってもみなかった！」


俺の意思を反し流れる涙を拭うことなく流し続ける。

仲間を失い、権兵衛も失った。でも、ドフラミンゴへの憧れまで消えたわけじゃねえ。俺にはその想いだけで十分だと、居もしねえ神に言われたような気持でドフラミンゴからの手紙を握りしめ、無理難題な要求をこなすため船を出した。

"お前にチャンスをやろう"