優しい彼の裏側
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息がしづらいと気づいた時には弟者さんに強く抱きしめられていた。
上を見ると、何故か見づらいが誰かに電話をしている兄者さんもいた。
なら、おついちさんもいるはず。とおついちさんの姿を探すが見当たらない。
何故いないのかを考えている内に、視界が悪いのが気になり袖で必死に拭うのに、袖がグショグショになるだけで一向にクリアにならない。
そんな私を、弟者さんは止め、兄者さんは苦虫を潰したような顔をして見ていた。
「うるせえ、早く出ろ」
初めて聞く兄者さんのキツイ口調。
無意識にビクつく私を、さらに強く抱きしめてくれる弟者さんの腕にしがみつき耐える。
バタン!!
おついちさんの玄関のドアが壊れそうな勢いで開かれる。
あそこにいたのか。と他人事のようにおついちさんに顔を向けると、おついちさんは微かに笑ってこちらを見ていた。
「何したの、おついちさん」
今も笑ってるおついちさんに、いつもはニコニコと笑っている弟者さんも怒っている。
「やめだやめだ。こんな空気で飯食えるか」
兄者さんの一言が、私のせいだと訴えかけている気がする。否、気がするのではなく、そうなのかもしれない。
根拠のない考えなのに、そうだと決めつけていく私の考えを遮るかのように弟者さんが鍵はどこ?と聞いてくる。
両手で捕まっていた弟者さんの腕から片方だけを外し、カバンを漁って鍵を取り出す。
それを受け取って鍵を開け、私を家へと連れて行く弟者さんと兄者さん。
おついちさんも来るのか見ると、おついちさんは俯き、その場にとどまったまま一歩も動かない。
手をのばしかけた私を兄者さんは止め、家の中へと押し込まれる。
「とりあえず、どうしようか」
「おっつんと名無しのさん次第って言えば、それまで。だけど……正直おっつんのことどう思ってるわけ?」
家に帰ったことで落ち着き始めた私に、真剣な眼差しで問いかける兄者さんは私の頭を撫でる。
弟者さんも私を真剣に見つめる。
もう、わからないでは片付けられないし逃げられないのだ。
「私は……」
おついちさんの事が怖い。それは変えようの無い事実。
じゃあ、いつから?私はいつからおついちさんの事が怖くなったのか。
……否。考えるべきは、私がいつからおついちさんの心を引っ掻き回していたのか、だ。
始まりは、おついちさんと初めて出会った日まで遡る。
最初は、突然声をかけてくれた優しそうでかっこいい人だという印象しかなかった。
でも、今思えばその優しさから本当の、傷つきやすく壊れやすいおついちさんを、私は見つけ、そのアンバランスさに惹かれていたのだ。
だけどそんなことにも気づかないまま、自分勝手におついちさんの鎧を攻撃し、亀裂をいれた。
修復の余地を与える間もなく、私は攻撃を続け、ついには壊した。
壊したことに気づかないまま、私は被害者面。
最低だ。
おついちさんに好かれる資格は欠片もない。
「……でも、それでも好きなんでしょ?」
「じゃあそれでいいじゃねえか」
もー、ほら。袖でゴシゴシ目を拭かないの!そう言って笑いながら頭を撫でてくれる。
本当ならこの立ち位置はおついちさんのはずで、むしろ私が一人悩まなければいけなかったのだ。
「……私、謝ってきます!」
「おうおう、行ってこい」
「頑張って!」
ドアに向かって走り思いっきり捻って開く。……はずだった。
扉はビクともせず開かない。
一旦ドアから手を離し、その場に立ち尽くす。
「……ごめん、いいよ。開けて」
すぐそこから聞こえてくる声は、間違えるはずがない。
少し枯れた声だがおついちさんだ。
急いでドアを開け直し外へ出る。
昨日の服のまま、ドアの前に立つおついちさんにゆっくり近づきソッと触る。
私が触ろうとしていることに気づいたおついちさんは目を少しきつく瞑り、身を少し固める。
それだけ、私はおついちさんを傷つけたのだ。
「……わかりました。私が見つけたもの」
「……」
「それは、」
「わかったからなんだっていうの」
冷たい。
心も身体も。
私はそんなおついちさんの……。
「安らぎになりたい」
おついちさんの身体が貸すかに震えているのを感じ、伏せていた顔をあげると、あの時の私のように声を殺して泣いていた。
「俺はっ名無しのさんに酷いことばっかり言ったのに……っそれでも、」
「それは!私が……っ私がっ悪いんですっ」
しゃくりと涙でお互い、くしゃくしゃになりながら私が、俺が、と言い合う。
「いい加減素直になれよ!」
玄関先で、兄者さんが叫んだ。
横にはおろおろと、兄者さんを止めようとする弟者さんの姿。
「あーでもない、こーでもないって、結局は好きなんだろ!?じゃあそれで良いじゃねえか!」
ズンズンと近づき、力一杯に私たちの頭を撫でながら、兄者さんも泣いていた。
そんな兄者の姿に背中を押される。
「俺と、付き合ってくださいっ」
私に向き合い、力強く頭を下げるおついちさん。
私の答えはもう、決まっている。
上を見ると、何故か見づらいが誰かに電話をしている兄者さんもいた。
なら、おついちさんもいるはず。とおついちさんの姿を探すが見当たらない。
何故いないのかを考えている内に、視界が悪いのが気になり袖で必死に拭うのに、袖がグショグショになるだけで一向にクリアにならない。
そんな私を、弟者さんは止め、兄者さんは苦虫を潰したような顔をして見ていた。
「うるせえ、早く出ろ」
初めて聞く兄者さんのキツイ口調。
無意識にビクつく私を、さらに強く抱きしめてくれる弟者さんの腕にしがみつき耐える。
バタン!!
おついちさんの玄関のドアが壊れそうな勢いで開かれる。
あそこにいたのか。と他人事のようにおついちさんに顔を向けると、おついちさんは微かに笑ってこちらを見ていた。
「何したの、おついちさん」
今も笑ってるおついちさんに、いつもはニコニコと笑っている弟者さんも怒っている。
「やめだやめだ。こんな空気で飯食えるか」
兄者さんの一言が、私のせいだと訴えかけている気がする。否、気がするのではなく、そうなのかもしれない。
根拠のない考えなのに、そうだと決めつけていく私の考えを遮るかのように弟者さんが鍵はどこ?と聞いてくる。
両手で捕まっていた弟者さんの腕から片方だけを外し、カバンを漁って鍵を取り出す。
それを受け取って鍵を開け、私を家へと連れて行く弟者さんと兄者さん。
おついちさんも来るのか見ると、おついちさんは俯き、その場にとどまったまま一歩も動かない。
手をのばしかけた私を兄者さんは止め、家の中へと押し込まれる。
「とりあえず、どうしようか」
「おっつんと名無しのさん次第って言えば、それまで。だけど……正直おっつんのことどう思ってるわけ?」
家に帰ったことで落ち着き始めた私に、真剣な眼差しで問いかける兄者さんは私の頭を撫でる。
弟者さんも私を真剣に見つめる。
もう、わからないでは片付けられないし逃げられないのだ。
「私は……」
おついちさんの事が怖い。それは変えようの無い事実。
じゃあ、いつから?私はいつからおついちさんの事が怖くなったのか。
……否。考えるべきは、私がいつからおついちさんの心を引っ掻き回していたのか、だ。
始まりは、おついちさんと初めて出会った日まで遡る。
最初は、突然声をかけてくれた優しそうでかっこいい人だという印象しかなかった。
でも、今思えばその優しさから本当の、傷つきやすく壊れやすいおついちさんを、私は見つけ、そのアンバランスさに惹かれていたのだ。
だけどそんなことにも気づかないまま、自分勝手におついちさんの鎧を攻撃し、亀裂をいれた。
修復の余地を与える間もなく、私は攻撃を続け、ついには壊した。
壊したことに気づかないまま、私は被害者面。
最低だ。
おついちさんに好かれる資格は欠片もない。
「……でも、それでも好きなんでしょ?」
「じゃあそれでいいじゃねえか」
もー、ほら。袖でゴシゴシ目を拭かないの!そう言って笑いながら頭を撫でてくれる。
本当ならこの立ち位置はおついちさんのはずで、むしろ私が一人悩まなければいけなかったのだ。
「……私、謝ってきます!」
「おうおう、行ってこい」
「頑張って!」
ドアに向かって走り思いっきり捻って開く。……はずだった。
扉はビクともせず開かない。
一旦ドアから手を離し、その場に立ち尽くす。
「……ごめん、いいよ。開けて」
すぐそこから聞こえてくる声は、間違えるはずがない。
少し枯れた声だがおついちさんだ。
急いでドアを開け直し外へ出る。
昨日の服のまま、ドアの前に立つおついちさんにゆっくり近づきソッと触る。
私が触ろうとしていることに気づいたおついちさんは目を少しきつく瞑り、身を少し固める。
それだけ、私はおついちさんを傷つけたのだ。
「……わかりました。私が見つけたもの」
「……」
「それは、」
「わかったからなんだっていうの」
冷たい。
心も身体も。
私はそんなおついちさんの……。
「安らぎになりたい」
おついちさんの身体が貸すかに震えているのを感じ、伏せていた顔をあげると、あの時の私のように声を殺して泣いていた。
「俺はっ名無しのさんに酷いことばっかり言ったのに……っそれでも、」
「それは!私が……っ私がっ悪いんですっ」
しゃくりと涙でお互い、くしゃくしゃになりながら私が、俺が、と言い合う。
「いい加減素直になれよ!」
玄関先で、兄者さんが叫んだ。
横にはおろおろと、兄者さんを止めようとする弟者さんの姿。
「あーでもない、こーでもないって、結局は好きなんだろ!?じゃあそれで良いじゃねえか!」
ズンズンと近づき、力一杯に私たちの頭を撫でながら、兄者さんも泣いていた。
そんな兄者の姿に背中を押される。
「俺と、付き合ってくださいっ」
私に向き合い、力強く頭を下げるおついちさん。
私の答えはもう、決まっている。