奇妙な夜
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部屋に走って逃げる権兵衛を見送り、ソファーに腰かける。
「何やってんだか」
元々権兵衛は恥ずかしがりの臆病もの。自分をさらけ出してくれるようになったのも付き合い始めてだいぶ経ってからだ。
そんな権兵衛に性急に動いたって良いことに一つも繋がりやしない。
「……」
あの、綺麗な濡れ羽色の髪を守りたい。柔肌を守りたい。
それは紛れもない事実、のはずなのに。溜めたくもない性欲が毎日溜まることで、さっきのように権兵衛を戸惑わせてしまう。
「……」
そろそろ謝ろうと権兵衛の部屋へと向かった。
ドアをできるだけ優しくノックをしたら、暫く様子を伺うけど返事がない。
まさか、出て行ったんじゃ。
嫌な想像に、心臓がゾワゾワとし始めたころ、自分の部屋も覗いてみようかと踵を返した。
「ほんとにもう、心臓持たないからやめてくれ」
俺の勘はいくつになっても健在でありがたい。権兵衛は俺のベッドで横になり、布団をすっぽりとかぶって寝ていた。
そっと近づき、ベッドに腰掛ける。確認するのは権兵衛の瞳。もし涙で濡れていたら、俺は権兵衛を傷つけたことになる。
嫌われるのだけは避けたい。
「……おはよう」
目が開いたのを合図に声をかけた俺に、少し身体を強張らせたのはきっと、驚いたからだと信じたい。
「ご飯食べようか」
「……」
「もう、しないから。そんなに泣きそうな顔しないで」
俺まで泣きそうな声で、さらに歪む権兵衛の顔。
ああ、泣かないで。
別に困らせたいわけじゃないんだ。
視界が霞んでいく。
「私、嫌じゃないんだよ?おついちさんとそういう事するの。でも、恥ずかしくて。ごめんなさい、ちゃんと慣れるから」
必死に抱きついてくれる姿が、とても健気で、愛らしくて、俺なんか汚れきってて、でもやっぱり権兵衛からは離れらんないんだなって、そう思うと苦しくて。そんな、まとまりのない感情が少しでも伝わるように、強く抱きしめた。
「何やってんだか」
元々権兵衛は恥ずかしがりの臆病もの。自分をさらけ出してくれるようになったのも付き合い始めてだいぶ経ってからだ。
そんな権兵衛に性急に動いたって良いことに一つも繋がりやしない。
「……」
あの、綺麗な濡れ羽色の髪を守りたい。柔肌を守りたい。
それは紛れもない事実、のはずなのに。溜めたくもない性欲が毎日溜まることで、さっきのように権兵衛を戸惑わせてしまう。
「……」
そろそろ謝ろうと権兵衛の部屋へと向かった。
ドアをできるだけ優しくノックをしたら、暫く様子を伺うけど返事がない。
まさか、出て行ったんじゃ。
嫌な想像に、心臓がゾワゾワとし始めたころ、自分の部屋も覗いてみようかと踵を返した。
「ほんとにもう、心臓持たないからやめてくれ」
俺の勘はいくつになっても健在でありがたい。権兵衛は俺のベッドで横になり、布団をすっぽりとかぶって寝ていた。
そっと近づき、ベッドに腰掛ける。確認するのは権兵衛の瞳。もし涙で濡れていたら、俺は権兵衛を傷つけたことになる。
嫌われるのだけは避けたい。
「……おはよう」
目が開いたのを合図に声をかけた俺に、少し身体を強張らせたのはきっと、驚いたからだと信じたい。
「ご飯食べようか」
「……」
「もう、しないから。そんなに泣きそうな顔しないで」
俺まで泣きそうな声で、さらに歪む権兵衛の顔。
ああ、泣かないで。
別に困らせたいわけじゃないんだ。
視界が霞んでいく。
「私、嫌じゃないんだよ?おついちさんとそういう事するの。でも、恥ずかしくて。ごめんなさい、ちゃんと慣れるから」
必死に抱きついてくれる姿が、とても健気で、愛らしくて、俺なんか汚れきってて、でもやっぱり権兵衛からは離れらんないんだなって、そう思うと苦しくて。そんな、まとまりのない感情が少しでも伝わるように、強く抱きしめた。