第41夜
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辺りはもう日も沈み、すっかり暗くなっている。
先ほど、ゼンの元にイザナがやって来た。
昼間に申し出た内容を、イザナは承諾してくれたのだ。
ゼンには王宮の東の一角が与えられ、そこに王城付薬剤師・白雪の部屋を置く事を許された。
但し、白雪だけではなくアキたち側近の部屋も同じ様に移す事を命じられた。
【お前の側に仕える者と同じ場所に身を置かせる。明白とはそういう事だ】という言葉と共に、東の一角の鍵がゼンへと手渡されたのだ。
「そういえば、」
『?』
ゼン、木々やミツヒデはとうに私室に戻っている。
少し夜風に当たりたいと言うオビに付き合い、アキはオビと同じように木に登って背中を預けていた。
ぼーっとしていたアキだったが、オビの声に意識を戻す。
「木々嬢とのお見合いの効力がなくなったら、今度はどうするのかねぇ主」
『王宮に白雪の部屋を貰えたから、暫くは大丈夫でしょう』
「そうだろうけど。次はアキ嬢が一芝居うつのかい?」
オビの言葉に、アキは何度か瞬きをした。
そして口元に笑みを浮かべて、ふるふると首を横に振る。
『まさか。いくら側近だからって、イザナ様が 出身も年齢もわからない、元暗殺者の私を、弟君の妃候補にするはずがない』
「……」
当然と言えば当然の答え。それは何一つ間違いではない。
実際アキの出身が何処かなど分からず、年齢も曖昧。そしてある一時、このクラリネスと敵対関係になった事は揺るぎようがない事実だ。
オビはふうん、と一度相槌をうって、首元の襟巻を引き寄せた。
「…まあアキ嬢が主の妃候補になられても困るんだけど」
『え?』
アキの髪が風に遊ばれて、横顔を隠す。
オビは手を伸ばしてその髪を掬いあげて、そこに唇を寄せた。
「あんたは俺の恋仲なんだから」
オビの言動に顔を赤くしたアキは、そのまま固まっている。
「ほら、そういう顔も」
自身の言動に未だに慣れてくれない恋仲を見て、オビはふっと笑った。
「俺以外に見られるのは嫌だしね」
もちろんこの恋仲が、自分以外の男にこういう顔を見せるわけがないと分かってはいるのだけれど。
まだ顔を赤くしているアキの頬に唇を落として、オビは愛おしそうに笑った。
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