第41夜
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「――では、こちらへ」
「はい、殿下」
ハルカ侯爵から見合いをせよとの申し出があった数日後。
ゼンは今、その見合い相手と共に城内を歩いていた。
城内に仕える者たちがヒソヒソと噂を立てる中、ゼンの側近であるアキ、ミツヒデ、そしてオビの3人は並んでその警護に当たっていた。
「――おお…」
「私語は慎め」
思わず声を漏らすオビを注意して、ミツヒデは目の前を通り過ぎていく主人とその見合い相手を目で追う。
「おまえら控えていろ。誰も通さなくていい」
「わかりました」
『こちらはお任せください』
離れたところでゼンと見合い相手が立っているのを見て、3人は小声で話し始める。
「しかし、見合いの名目でゼンと木々が並んでる姿を見るとはなあ」
ミツヒデの言葉通り、ゼンの見合い相手とは同じ側近の木々なのである。
「妙も妙だな」
「主も木々嬢に頼む時に、【これ程反応の怖い頼み事も無い】って言ってましたもんね」
『あの時の怪訝そうな顔した木々は、私もさすがに怖かったなあ』
見合い相手に木々を据えるという提案、というより作戦を木々本人にした時のゼンの顔は少し強張っていた。
どういう茶番だと冷たい視線を送る木々に、ゼンは冷や汗を流しながら説明をした。
兄であるイザナを通している話である以上、周りからは茶番には聞こえない。
つまり木々が一芝居付き合うことで、するつもりもない見合いをさせられる窮地からは暫く退ける。
そして側近としての木々の立場を守るために、木々の名前は表には出さないという誓約も取り付けて。
最後にゼンが付け足した、「夜会が開かれておまえも出る事になるよりはましだと思うが」という一言が、どうやら決め手になったらしい。