第40夜
夢小説設定
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「!ルーエンさん!?」
「あー、お邪魔してますルーエンさん」
『!?(イザナ様!?)』
「薬室長に聞いていたのでな。挨拶に来た」
そう言って鈴達に近付くイザナから離れ、アキはオビや白雪とヒソヒソと言葉を交わした。
「そうか、兄殿下って【薬室長の弟子 ルーエン】って事になってたんだっけ?」
「そう」
『胃が痛い…』
「へえ、茶か」
哀れむように肩に置かれたオビの手に、アキはため息をつく。
それに気付いているのかいないのか、イザナは机に広げられた試作の茶を眺めていた。
「ルーエンさん、リリアスだと雪をも従える北の騎士みたいな感じだったけど、王城歩いてるのも様になりそうだねー。お茶ご一緒にどーですか」
「すまないが仕事を残してきていてな。すぐ戻る」
イザナは一旦言葉を切って、口を開く。
「ーーそうだな、白雪。後で執務室へ運ばせてくれ」
『!』
「…!はい!」
嬉しそうな白雪を見て、アキもまた嬉しそうに笑った。
「リリアスでは名乗る間も無く失礼したが、ルーエンは借りた名だ」
そう言ってアキを一瞥して、ほんの一瞬口元を不敵に歪ませるイザナ。
途端にアキに嫌な予感が降りかかる。
「俺はイザナ・ウィスタリアという。今後とも宜しく頼む」
突然の告白に、告げられた鈴とユズリは思わず無表情になった。
「ではな」
そして出ていく直前で、イザナはアキを見やる。
「ああアキ、茶はお前が執務室まで持ってきてくれ」
『……かしこまりました』
苦々しく返事をして頭を下げる。
本日2回目、肩に置かれたオビの手を辿ると、諦めろ、という顔をしたオビと目が合った。
「……………ウィスタリア?」
「は!?」
「イザナ・ウィスタリア殿下!?」
ようやく頭が作動しだしたらしい2人はひとしきり騒いで、やがて鈴がぴたりと静かになる。
「……オビ君」
呼ばれたオビは鈴を見て次の言葉を待った。
「俺、投獄かな?」
「残念ながらね」
頷いたオビを見ていたユズリが、思い出したように声をあげる。
「……ねえ、アキちゃんってさ、ルーエンさんの妹……だった、よね……?」
「あ」
『!』
「まさっ、まさか、王女様…!?」
「オビ君…俺、投獄じゃ済まないかな」
「残念ながらね」
『オビ、変なこと言わないで』
アキは額を手で押さえながら、最後にイザナが残していった意味深な笑みを思い出す。
ああ、引っ掻き回していってくれるなぁ。
『落ち着いてください。クラリネスに王女はいません』
「え、じゃあ…?」
『あの時はただ視察に同行しただけです。あれはイザナ様の悪ふざけですよ』
遠い目をして笑うアキに、あらゆる方面から哀れみの目を向けられる。
「あっ!薬室長呼んできましょうか!」
「寝てたよ」
「えっ」