第40夜
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「あれ!?今日でしたっけ、リリアス組の方らが来るの」
オビの声が響くここは執務室。
主であるゼンは小さくため息をついた。
「知ってたか…。おまえは本っっ当そういう事を話さんな、オビ」
「いやほら、薬室長の客人としてって聞いてたんで」
『いや…白雪はちゃんと話してくれたけど、オビが夢うつつで聞いてたんだよ』
「あれ、そうでしたっけ」
横からアキが口をはさみ、オビはへらりと笑う。
「まあいいじゃないですか、俺よりお嬢さんに聞いた方が。ね?」
「ね!?」
首を傾げてにっこりと笑うオビと、同じように笑いつつ声に凄みがあるゼン。
そのやり取りを見て思わず笑ったアキは、息を切らせて執務室へとやって来たミツヒデの姿を認めた。
『ミツヒデ、おはよう』
「お。おはようございますミツヒデさん」
しかしミツヒデは挨拶には応えず、部屋をきょろきょろと見回す。
「あれ…木々まだか?」
「?来てないですよ」
「………どうか」
ゼンの瞳がミツヒデを捉え、ミツヒデの視線と絡んだ。
「したのか」
「ああ、いや、えっとな」
『なんでまだ気まずいのよ』
「いい加減飽きたんで通常通りに喋ってくれませんかね」
先日の木々の約束の件からこっち、どうやらここの主従は未だに気まずいらしく。
口元だけ笑うアキとオビに突っ込まれる始末である。
「いや今、兵達が木々の話で盛り上がっ…」
ミツヒデはそこまで言って、部屋に入ってきた誰かの足音を聞いて振り返った。
「おはよう」
入ってきたのは木々。
しかし昨日までの木々とは違い、長かった彼女の髪は、肩より更に短い位置で切り揃えられていた。
「「「な!?」」」
『木々…?』
思わず目を見開く四人をよそに、木々は気にすることなくゼンに話しかける。
「はいゼン。昨日頼まれてたやつ、あと署名だけ」
「いやいや待て待て」
「切ったのか!?」
「大丈夫なのか?」
ゼンやミツヒデの慌てっぷりを見て、木々は少しだけ微笑んだ。
「大丈夫、自分の意志」
「俺は木々嬢なら短くても構いませんよ。長い時におろしてるとこ、もう一回見ておきたかったですけど。出来れば俺がほどいて」
似っ合うなーと調子よく続けるオビに、アキは半目になる。
『オビ、何言ってるの』
呆れたようなアキの声に、一瞬だけ場が固まった。
『それは私の役目なんだけど』
「じゃーまた木々嬢が髪伸ばしたらやらせてもらおう」
「すべてにおいてどうでもいい感想どうも」
思っていたのと違う反応を見せたアキに、ホッとしたようなそうでないようなゼンとミツヒデ。
場の空気を変えようと、ミツヒデが木々に話しかける。
「昔もそのくらいだったな」
「そうだね」
「あーー、どこかのミツヒデが、木々を男剣士だと思っていた頃な」
『そんなこともあったね』
「ちょ…」
「旦那が!?ははははは!なんですか主、その愉快な話詳しく!」
涙を流す勢いで笑いながら続きを促すオビに、ミツヒデは顔を青くさせながら全力で拒否した。
「やめろ…本当にそこは触れるな…」