第2夜
夢小説設定
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「アキ、この書類は薬室に」
イザナから渡された書類を抱え、アキは薬室へ向かっていた。
「ついでだから赤髪の薬剤師どのに挨拶でもしてこい」
去り際に言われたことを思い返しながら、アキはボーッと城内を歩く。
『挨拶ねえ...』
考え事をしているアキは若干無防備なところがある。
薬室へ繋がる最後の廊下を曲がったとき、アキは前方から来た衛兵と正面衝突してしまった。
『う、わっ』
「ア、アキどの!」
驚いた衛兵が声をあげ、後ろに倒れそうになったアキに手を伸ばす。
だが衛兵がアキを掴むより早く、倒れそうなアキを支えたのは、どこからか現れたオビだった。
「オビどの!一体どこから...」
「いや、まあちょっとね。...大丈夫かい、アキ嬢」
『...どうも』
アキは体勢を整えると、衛兵に頭を下げる。
『前方不注意でした、すみません』
「い、いえ、こちらこそ...」
『オビどのも』
くるっとオビの方を向き、アキはにこりと笑った。
『ありがとうございます、おかげで転ばずに済みました』
「あ、あー…。まあ、俺が支えなくてもアキ嬢なら転けなかったと思うけどね」
さっきズレてしまったのだろう襟巻の位置を戻しながら、オビはへらりと笑う。
オビの言葉に笑顔で返し、アキはオビと衛兵に頭を下げた。
『お騒がせ致しました。では私はこれで』
「はい、お気を付けて」
衛兵はそのまま歩いて行く。
アキも薬室への道のりをまた歩き始めた。
オビはアキの後ろ姿を眺めながら、ふと視線を自分の手へ落とした。
「(肩、ほっそ...)」
以前支えたことのあるあの薬剤師のそれと、彼女のそれはまた違った。