twinkle days(白石vs財前/2年生)
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教室は10分の休み時間でも賑やかだ。
話してるヤツもいれば、漫才の打ち合わせしてるヤツもいる。
自分の休み時間といえば、いつもは音楽聴くかブログ更新するかしていたらもう10分が終わっている。
でも、今日は何故か長い。好きなアーティストの歌にも集中できない。
原因は何となくわかっている。
そのせいで胸のあたりがモヤモヤとしていて気持ちが悪い。
「(……タダのアメちゃんや。ただ貰った言うてただけやのに、部長に喧嘩売るようなマネして、挙句ジブンの胸の内晒して、アホちゃうか…)」
彼女の方を見ると、友人達と楽しそうに笑っている。…けど、なんや慌てだした。
表情が変わって面白い。
「名前、教えてや、おるんやろ?」
「そんな事ないよ」
「その顔はウソや。すぐわかるで」
「えっ!なんで」
「…ほら!やっぱり好きな人おるんやんか!」
「あっ」
「なー、こっそり教えてや!協力するで」
「(…放っとけや)」
そう思いながら、正直内心穏やかではなくて、聞きたくないが気になっている自分もいる。
相手を知っていたとしてもだ。
「…あっ、白石先輩や」
「えっ」
「ほら、あそこ」
向かいの校舎の廊下を見ると、知らない女生徒と一緒に歩く部長がいた。
彼の手には重そうな教材がある。
あの人の事だ、重そうに持って歩く女生徒を見兼ねて手伝っているのだろう。
そういうのが誤解を招くのに、困っている人を見捨てておけないのが部長だ。
「今日もカッコええなあ、目の保養やわ」
「……」
「隣の人先輩やろか、彼女…とかは聞いた事ないけど。白石先輩とか競争率高すぎやわ。というか、テニス部。ウチのクラスにも競争率高いのおるけど」
同じ方を見ていたのもあって、バチ、と目があった。しまったと思ったが、時すでに遅く彼女の友人がこちらに来てしまった。
「なあ、財前くん。白石先輩って彼女おるん?」
「…はあ?知らんし」
「じゃあ、財前くんは?好きな人とか、彼女とか」
イヤイヤ、厚かましすぎやろ。
苗字の方を横目で見ると、目があった。
「…おってもここで言うわけないやろ」
「え⁈何⁈おるん⁈」
この間から自分らしくない。
ーーイラつく。
幸いにも休み時間終了のチャイムが鳴った。
最後に「忍足先輩は?」ときいてきたから、「ケンヤさんが彼女とかないわ」とだけ答えておいた。
放課後、部室でユニフォームに着替えようとしていると、ケンヤさんが話しかけてきた。
「なあ、モテる要素ってなんやと思う?」
「はあ?何ですかいきなり」
「なんで俺モテへんのかって思ってな…」
「めんどくさ」
「めんどくさってなんや、めんどくさって!深刻な悩みやで…!」
ケンヤさんは深いため息をつくと、ロッカーの中の鏡をみてぶつぶつ言っている。
「なんや、何があかんのや」
「…あかんことないけど、相手が悪すぎるんちゃいますか」
「相手ってなんや」
「白石部長と一緒におったら、かすむんちゃいます?」
「オラァ!かすむ言うな!」
「…まあ、せやけど、同じクラスの女子がケンヤさんの事気にしてましたけどね」
「何⁈それを早よ言えや!やっぱりわかる子はわかるんやで、俺のいいとこ見てくれるんや」
「あー…、よかったですね」
「心こもってへんわ!」
「…あ」
「なんや、どないした」
「持って帰るプリント、教室に忘れてきたんでとってきますわ」
「おお、わかった」
教室に戻ると、室内はがらんとしている。
皆帰ったり部活に行ったりしているようだ。
「(机の中にあるはずやけど)」
机の中を覗き込んでプリントを取り出すと、音を立てて何かが床に落ちた。
白い封筒だ。自分が、帰るときはなかったはず。
一応拾ってそれの中を見れば、俺への告白が書いてある。
財前くんのテニスしてる姿が
好きです。
大事な話をしたいので、
放課後裏庭で待ってます。
あとは名前が書いてある。
「(…今日の放課後裏庭で待っとる言うても、相手誰か知らん女子やし。テニスしてる俺?逆に言うたらテニスしてる俺しか知らんやろ?)」
自然とため息が出た。
ーと、同時に背後で今度は先ほどの封筒の落ちた音とは比べ物にならない音が背中の方で聞こえた。
そちらを振り向くと、大量のプリントが落ちていて、女子が青い顔をして立っている。
「苗字、何してるんや」
「ちょっと…躓いて…」
「…躓くとこないやろ」
「うん…そうなんだけど…」
「何もないとこで躓いた?」
「いや、自分の足に躓いて…」
「どうやったら自分の足に躓くんや」
「足、絡まない?」
「絡んだ事ない」
自分の足がからんで躓くとか、器用すぎやろ。いや、おもろすぎやろ。
一応笑いは抑えていたつもりだが、彼女は膨れて怒ったみたいだ。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
「あー…すまん。ジブンのさっきの話、うちの先輩らのお笑いより面白かったで」
「…複雑かも」
「それより、プリント拾わんとあかんやろ」
落ちたプリントに手をのばしてとると、また彼女は表情をかえて慌てている。
「財前くん!部活あるだろうし、拾わなくて大丈夫だよ」
「拾うだけやからそんな時間かからんやろ。2人の方が早い」
「…ごめんね、ありがとう」
プリントを2人で集めながら聞けば、どうも明日の授業で使う資料のホチキス留めを頼まれたみたいだ。ウチのクラス分だけとはいえ、面倒くさいにかわりはない。
「あれ…何だろうこれ」
彼女が手にとっていた白い封筒は、俺の机の中にあった手紙。さっきポケットに入れたはずなのに、落ちてしまっていたようだ。
思わず、さっと彼女の手から抜き取った。
「それ、財前くんのだったんだね。ごめん、落ちてたから」
「どうでもいいやつやから」
「…違ってたらごめんね。ラブレターかと思ったんだけど…。もしそうなら、どうでもいいって言うのはダメだよ」
「…関係ないやろ」
「ごめん、でも…その人、財前くんの事が好きで、頑張って気持ちを込めて、勇気もだして、やっと書いたんだと思う。だから、手紙…ちゃんとみて、どんな答えでも、彼女に返事してあげー…」
イラつく。思わず言葉を遮って、彼女を俺と黒板で挟んでしまった。腕の中にいる彼女は、後ろは黒板、前は俺、横は腕で遮られて動けない。
「財前くん、…その、気に障ったならごめん、ね」
「ーー分かって言っとらん分タチが悪いわ」
「え?」
「呼び出されてるんやけど。行かなアカンの」
「呼び出されたなら、行って返事を…」
「…は、俺なら送り出すんかい」
「好きなやつに、ほかの女子のとこ行けとか言われるん、ないやろ」
「苗字の事が、好きや」
話してるヤツもいれば、漫才の打ち合わせしてるヤツもいる。
自分の休み時間といえば、いつもは音楽聴くかブログ更新するかしていたらもう10分が終わっている。
でも、今日は何故か長い。好きなアーティストの歌にも集中できない。
原因は何となくわかっている。
そのせいで胸のあたりがモヤモヤとしていて気持ちが悪い。
「(……タダのアメちゃんや。ただ貰った言うてただけやのに、部長に喧嘩売るようなマネして、挙句ジブンの胸の内晒して、アホちゃうか…)」
彼女の方を見ると、友人達と楽しそうに笑っている。…けど、なんや慌てだした。
表情が変わって面白い。
「名前、教えてや、おるんやろ?」
「そんな事ないよ」
「その顔はウソや。すぐわかるで」
「えっ!なんで」
「…ほら!やっぱり好きな人おるんやんか!」
「あっ」
「なー、こっそり教えてや!協力するで」
「(…放っとけや)」
そう思いながら、正直内心穏やかではなくて、聞きたくないが気になっている自分もいる。
相手を知っていたとしてもだ。
「…あっ、白石先輩や」
「えっ」
「ほら、あそこ」
向かいの校舎の廊下を見ると、知らない女生徒と一緒に歩く部長がいた。
彼の手には重そうな教材がある。
あの人の事だ、重そうに持って歩く女生徒を見兼ねて手伝っているのだろう。
そういうのが誤解を招くのに、困っている人を見捨てておけないのが部長だ。
「今日もカッコええなあ、目の保養やわ」
「……」
「隣の人先輩やろか、彼女…とかは聞いた事ないけど。白石先輩とか競争率高すぎやわ。というか、テニス部。ウチのクラスにも競争率高いのおるけど」
同じ方を見ていたのもあって、バチ、と目があった。しまったと思ったが、時すでに遅く彼女の友人がこちらに来てしまった。
「なあ、財前くん。白石先輩って彼女おるん?」
「…はあ?知らんし」
「じゃあ、財前くんは?好きな人とか、彼女とか」
イヤイヤ、厚かましすぎやろ。
苗字の方を横目で見ると、目があった。
「…おってもここで言うわけないやろ」
「え⁈何⁈おるん⁈」
この間から自分らしくない。
ーーイラつく。
幸いにも休み時間終了のチャイムが鳴った。
最後に「忍足先輩は?」ときいてきたから、「ケンヤさんが彼女とかないわ」とだけ答えておいた。
放課後、部室でユニフォームに着替えようとしていると、ケンヤさんが話しかけてきた。
「なあ、モテる要素ってなんやと思う?」
「はあ?何ですかいきなり」
「なんで俺モテへんのかって思ってな…」
「めんどくさ」
「めんどくさってなんや、めんどくさって!深刻な悩みやで…!」
ケンヤさんは深いため息をつくと、ロッカーの中の鏡をみてぶつぶつ言っている。
「なんや、何があかんのや」
「…あかんことないけど、相手が悪すぎるんちゃいますか」
「相手ってなんや」
「白石部長と一緒におったら、かすむんちゃいます?」
「オラァ!かすむ言うな!」
「…まあ、せやけど、同じクラスの女子がケンヤさんの事気にしてましたけどね」
「何⁈それを早よ言えや!やっぱりわかる子はわかるんやで、俺のいいとこ見てくれるんや」
「あー…、よかったですね」
「心こもってへんわ!」
「…あ」
「なんや、どないした」
「持って帰るプリント、教室に忘れてきたんでとってきますわ」
「おお、わかった」
教室に戻ると、室内はがらんとしている。
皆帰ったり部活に行ったりしているようだ。
「(机の中にあるはずやけど)」
机の中を覗き込んでプリントを取り出すと、音を立てて何かが床に落ちた。
白い封筒だ。自分が、帰るときはなかったはず。
一応拾ってそれの中を見れば、俺への告白が書いてある。
財前くんのテニスしてる姿が
好きです。
大事な話をしたいので、
放課後裏庭で待ってます。
あとは名前が書いてある。
「(…今日の放課後裏庭で待っとる言うても、相手誰か知らん女子やし。テニスしてる俺?逆に言うたらテニスしてる俺しか知らんやろ?)」
自然とため息が出た。
ーと、同時に背後で今度は先ほどの封筒の落ちた音とは比べ物にならない音が背中の方で聞こえた。
そちらを振り向くと、大量のプリントが落ちていて、女子が青い顔をして立っている。
「苗字、何してるんや」
「ちょっと…躓いて…」
「…躓くとこないやろ」
「うん…そうなんだけど…」
「何もないとこで躓いた?」
「いや、自分の足に躓いて…」
「どうやったら自分の足に躓くんや」
「足、絡まない?」
「絡んだ事ない」
自分の足がからんで躓くとか、器用すぎやろ。いや、おもろすぎやろ。
一応笑いは抑えていたつもりだが、彼女は膨れて怒ったみたいだ。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
「あー…すまん。ジブンのさっきの話、うちの先輩らのお笑いより面白かったで」
「…複雑かも」
「それより、プリント拾わんとあかんやろ」
落ちたプリントに手をのばしてとると、また彼女は表情をかえて慌てている。
「財前くん!部活あるだろうし、拾わなくて大丈夫だよ」
「拾うだけやからそんな時間かからんやろ。2人の方が早い」
「…ごめんね、ありがとう」
プリントを2人で集めながら聞けば、どうも明日の授業で使う資料のホチキス留めを頼まれたみたいだ。ウチのクラス分だけとはいえ、面倒くさいにかわりはない。
「あれ…何だろうこれ」
彼女が手にとっていた白い封筒は、俺の机の中にあった手紙。さっきポケットに入れたはずなのに、落ちてしまっていたようだ。
思わず、さっと彼女の手から抜き取った。
「それ、財前くんのだったんだね。ごめん、落ちてたから」
「どうでもいいやつやから」
「…違ってたらごめんね。ラブレターかと思ったんだけど…。もしそうなら、どうでもいいって言うのはダメだよ」
「…関係ないやろ」
「ごめん、でも…その人、財前くんの事が好きで、頑張って気持ちを込めて、勇気もだして、やっと書いたんだと思う。だから、手紙…ちゃんとみて、どんな答えでも、彼女に返事してあげー…」
イラつく。思わず言葉を遮って、彼女を俺と黒板で挟んでしまった。腕の中にいる彼女は、後ろは黒板、前は俺、横は腕で遮られて動けない。
「財前くん、…その、気に障ったならごめん、ね」
「ーー分かって言っとらん分タチが悪いわ」
「え?」
「呼び出されてるんやけど。行かなアカンの」
「呼び出されたなら、行って返事を…」
「…は、俺なら送り出すんかい」
「好きなやつに、ほかの女子のとこ行けとか言われるん、ないやろ」
「苗字の事が、好きや」