twinkle days(白石vs財前/2年生)
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本当なら四天宝寺中に行くはずだった日。
高校のテニス部の部室には俺ともう1人、2学年上のマネージャーがいる。
「仕事、手伝わせてごめんなあ」
「ええですよ。いつもマネージャー1人でやってもろてるし、手伝える事は言うてください」
「ありがとう。せやけど、私が打ち合わせの日間違えんかったら、手伝わせてしまう事もなかったのに。もう私アホやわ」
「いや、そんな気にせんとってください。それに2人でやったら早よ終わりますよ。あとちょっとやし、頑張って終わらせてしまいましょう」
「…蔵ノ介くんはホンマ優しいな。ーなあ、今度お礼させて。何がええかな…せや、何か美味しいもの食べに行かへん?」
マネージャーである彼女は、入部したときから良くしてくれている。それは選手としてはありがたい話なのだが、気になる点もあって、何かといつも距離が近いのだ。今も、腕と腕が触れそうなくらい。
「今日の帰りに行く?」
「ーすみません。そういうんはちょっと…」
「…あ、もしかして彼女?」
「…俺、彼女に誤解させたないんです。やから、お礼とかは大丈夫ですから」
「うわ〜彼女愛されてて羨ましいわ。ー…ねえ、その子、他校なん?」
このままだと、自分の事ならまだしも、彼女の事を色々聞かれてしまいそうな雰囲気だ。先輩相手であっても、それはあまり答えたくはなかった。
「マネージャー。この資料こっちであってますか」
話を断ち切るように、元の作業の話に戻す。
するとマネージャーもこれ以上は聞いてはこなかった。
「…うん、あってる」
「これで全部ですか?」
「うん、ありがとうね。助かったわ」
「いえ。ほな、俺お先に失礼します」
「また明日ね、蔵ノ介くん」
部室の扉を閉めると、走って自転車置き場に向かった。
ここから中学まで自転車で20分くらいだ。急げば15分くらいでつく。
今から皆と合流できたとして、ゆっくりテニス…は時間的に無理だろう。
けど、今日は久しぶりに皆が揃う日なのだ。
自転車のペダルを、ぐっと踏み込んだ。
金ちゃん、駄々こねてへんやろか。
財前は、抱えこみすぎてへんやろか。
ー名前に会いたい。練習の後は、2人で話しながら、ゆっくり帰りたい。
そんな事を考えながら、自転車を走らせた。
予想通り15分。自転車をおりると、学校の門を潜った。
テニスコートの方からは賑やかな声とテニスボールを打ち合う音が聞こえる。
コートの近くまで行くと、ベンチには一番会いたかった人がこちらに背を向けて座っている。
どう、声をかけようか。2人だけなら他の選択肢もあったが、普通に声をかけることを選んだ。
「名前」
後ろから名前を呼ぶと、名前は少しびくっとした後、ゆっくりと振り返った。耳が赤い。目が合うと、とびきりの笑顔を向けてくれた。
「(やっぱり、好きやなあ)」
「ちょっとびっくりしました」
「ごめんな、驚かすつもりはなかったんやけど」
「けど、今日はもう会えないって思ってたので、白石先輩に会えて…すごく、嬉しいです」
「…うん。俺もや」
「(ここやなかったら、抱きしめとる)」
「あーー!!白石や!」
もうちょい名前と話したかったけど、声の主がこちらに走ってくる。そして、その声に反応したチームメイト達もこちらを向いた。
「白石!!」
こちらに来た金ちゃんがいきなり正面から抱きついてきて、少し体制を崩してしまったが持ちこたえた。
「金ちゃん、いきなり危ないで。俺を千歳か銀かと間違えてへんか?倒れるとこやったわ」
「間違えてへん!ワイ、白石とテニスしたくて待っててんで」
「そうか。遅れてしもてごめんな、金ちゃん」
「なあなあ、白石!あっちで試合しようや!試合!」
「そういうんは、聞かなあかん相手はもう俺とちゃうやろ?」
「あ、そうや!ざーーいーぜーーん!試合してもええー?」
そう言って金ちゃんは大きな声で遠くにいる財前に呼びかける。財前は謙也と打ち合いをしていたみたいだったが、途中で止めてこちらを見ると、そのまま歩いてきた。
「白石先輩、お疲れさまです」
「お疲れさん。頑張っとるなあ、財前」
「まあまあっすわ。…で、そこのゴンタクレがなんや試合やーとか言ってましたけど…ええんですか?」
「ああ、俺ならええよ。遅れてしもたから、がっつり試合は出来へんけど」
「なら、俺もええですわ。…金ちゃん、1ゲームだけやで」
「ホンマ⁈よっしゃ白石、勝負や!負けへんでー!」
金ちゃんは嬉しそうに飛び跳ねると、コートに走って行った。
「はは、相変わらずやなあ、金ちゃん」
「相変わらずすぎて困っとるとこですわ」
「…包帯でも巻いとくか?効き目あるかもやで」
「真似や思われるんは嫌なんでええですわ。思われんでも揃いやいうだけでキモいでしょ」
「俺えらい言われようやな」
「…そもそも、卒業してもその包帯外さんのですね」
「あー、これなあ。オサムちゃんがまだしといてくれ言うねん。俺も別にもう慣れてしもたから気にならんし、ええかな、て。それに、いざというときの金ちゃん止めになるやろ?」
「まあ、そうですけど」
その金ちゃんは、向こうのコートで「早よー!白石ー!」なんて大きな声で言いながら、こちらに手を振っている。
「ーほな、もう待たれへんみたいやから、金ちゃんとこ行ってくるわ」
「あー…ホンマですね。じゃ、よろしくお願いします」
後ろを振り向くと、名前と目があって、彼女は笑顔で返してくれた。
「先輩、頑張ってください」
「ありがとうな。…なんや名前に見られてると、かっこええとこ見せなって思ってまうわ」
「ふふ、応援してますね」
「ああ。ー…あと、今日終わったら一緒に帰ろう。送らせてや」
「ーはい。待ってます」
高校のテニス部の部室には俺ともう1人、2学年上のマネージャーがいる。
「仕事、手伝わせてごめんなあ」
「ええですよ。いつもマネージャー1人でやってもろてるし、手伝える事は言うてください」
「ありがとう。せやけど、私が打ち合わせの日間違えんかったら、手伝わせてしまう事もなかったのに。もう私アホやわ」
「いや、そんな気にせんとってください。それに2人でやったら早よ終わりますよ。あとちょっとやし、頑張って終わらせてしまいましょう」
「…蔵ノ介くんはホンマ優しいな。ーなあ、今度お礼させて。何がええかな…せや、何か美味しいもの食べに行かへん?」
マネージャーである彼女は、入部したときから良くしてくれている。それは選手としてはありがたい話なのだが、気になる点もあって、何かといつも距離が近いのだ。今も、腕と腕が触れそうなくらい。
「今日の帰りに行く?」
「ーすみません。そういうんはちょっと…」
「…あ、もしかして彼女?」
「…俺、彼女に誤解させたないんです。やから、お礼とかは大丈夫ですから」
「うわ〜彼女愛されてて羨ましいわ。ー…ねえ、その子、他校なん?」
このままだと、自分の事ならまだしも、彼女の事を色々聞かれてしまいそうな雰囲気だ。先輩相手であっても、それはあまり答えたくはなかった。
「マネージャー。この資料こっちであってますか」
話を断ち切るように、元の作業の話に戻す。
するとマネージャーもこれ以上は聞いてはこなかった。
「…うん、あってる」
「これで全部ですか?」
「うん、ありがとうね。助かったわ」
「いえ。ほな、俺お先に失礼します」
「また明日ね、蔵ノ介くん」
部室の扉を閉めると、走って自転車置き場に向かった。
ここから中学まで自転車で20分くらいだ。急げば15分くらいでつく。
今から皆と合流できたとして、ゆっくりテニス…は時間的に無理だろう。
けど、今日は久しぶりに皆が揃う日なのだ。
自転車のペダルを、ぐっと踏み込んだ。
金ちゃん、駄々こねてへんやろか。
財前は、抱えこみすぎてへんやろか。
ー名前に会いたい。練習の後は、2人で話しながら、ゆっくり帰りたい。
そんな事を考えながら、自転車を走らせた。
予想通り15分。自転車をおりると、学校の門を潜った。
テニスコートの方からは賑やかな声とテニスボールを打ち合う音が聞こえる。
コートの近くまで行くと、ベンチには一番会いたかった人がこちらに背を向けて座っている。
どう、声をかけようか。2人だけなら他の選択肢もあったが、普通に声をかけることを選んだ。
「名前」
後ろから名前を呼ぶと、名前は少しびくっとした後、ゆっくりと振り返った。耳が赤い。目が合うと、とびきりの笑顔を向けてくれた。
「(やっぱり、好きやなあ)」
「ちょっとびっくりしました」
「ごめんな、驚かすつもりはなかったんやけど」
「けど、今日はもう会えないって思ってたので、白石先輩に会えて…すごく、嬉しいです」
「…うん。俺もや」
「(ここやなかったら、抱きしめとる)」
「あーー!!白石や!」
もうちょい名前と話したかったけど、声の主がこちらに走ってくる。そして、その声に反応したチームメイト達もこちらを向いた。
「白石!!」
こちらに来た金ちゃんがいきなり正面から抱きついてきて、少し体制を崩してしまったが持ちこたえた。
「金ちゃん、いきなり危ないで。俺を千歳か銀かと間違えてへんか?倒れるとこやったわ」
「間違えてへん!ワイ、白石とテニスしたくて待っててんで」
「そうか。遅れてしもてごめんな、金ちゃん」
「なあなあ、白石!あっちで試合しようや!試合!」
「そういうんは、聞かなあかん相手はもう俺とちゃうやろ?」
「あ、そうや!ざーーいーぜーーん!試合してもええー?」
そう言って金ちゃんは大きな声で遠くにいる財前に呼びかける。財前は謙也と打ち合いをしていたみたいだったが、途中で止めてこちらを見ると、そのまま歩いてきた。
「白石先輩、お疲れさまです」
「お疲れさん。頑張っとるなあ、財前」
「まあまあっすわ。…で、そこのゴンタクレがなんや試合やーとか言ってましたけど…ええんですか?」
「ああ、俺ならええよ。遅れてしもたから、がっつり試合は出来へんけど」
「なら、俺もええですわ。…金ちゃん、1ゲームだけやで」
「ホンマ⁈よっしゃ白石、勝負や!負けへんでー!」
金ちゃんは嬉しそうに飛び跳ねると、コートに走って行った。
「はは、相変わらずやなあ、金ちゃん」
「相変わらずすぎて困っとるとこですわ」
「…包帯でも巻いとくか?効き目あるかもやで」
「真似や思われるんは嫌なんでええですわ。思われんでも揃いやいうだけでキモいでしょ」
「俺えらい言われようやな」
「…そもそも、卒業してもその包帯外さんのですね」
「あー、これなあ。オサムちゃんがまだしといてくれ言うねん。俺も別にもう慣れてしもたから気にならんし、ええかな、て。それに、いざというときの金ちゃん止めになるやろ?」
「まあ、そうですけど」
その金ちゃんは、向こうのコートで「早よー!白石ー!」なんて大きな声で言いながら、こちらに手を振っている。
「ーほな、もう待たれへんみたいやから、金ちゃんとこ行ってくるわ」
「あー…ホンマですね。じゃ、よろしくお願いします」
後ろを振り向くと、名前と目があって、彼女は笑顔で返してくれた。
「先輩、頑張ってください」
「ありがとうな。…なんや名前に見られてると、かっこええとこ見せなって思ってまうわ」
「ふふ、応援してますね」
「ああ。ー…あと、今日終わったら一緒に帰ろう。送らせてや」
「ーはい。待ってます」