twinkle days(白石vs財前/2年生)
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時間は過ぎて、夏の全国大会四天宝寺は敗退。悔しい気持ちを抑えて、青春学園に託した。
白石先輩は皆の前で表情にこそ出さなかったけれど、後で2人になった時、彼は何も言わずに私を抱きしめた。
「ー…ごめんな、少しだけ、このまま」
こんな時だって、心配をかけないようにしている。そんな優しい彼の背中が少し震えている気がして、彼をそっと抱きしめ返した。
そんな夏が終わり、秋、冬。そして春がきた。
先輩達は卒業していく。
高校も皆一緒とはいかなくて、それぞれの道を歩いて行く。
「皆、別々になるんやな…」
「イヤやわ謙也くん、寂しい事言わんとってえな。けど、謙也くんと蔵りんは一緒の学校やろ」
「目指してるのが2人とも医療系やからやろけどな」
「小春ぅ…俺も寂しくてもう…ダメや…」
「ユウくん…。でも、美術系の高校受かって良かったやんか。ユウくんなら、ビッグになれるでぇ。それにアタシらは…どこにおっても一心同体、やろ♡」
「せや…そやな…うっ、小春うぅぅぅ!!せや!学校の壁なんて、なんて事ないわ!登って会いに行くで!」
「ユウくん♡」
「小春♡」
「なあ、皆卒業しても遊びに来てな!そんで、また一緒にテニスするんや!」
「勿論やで金ちゃん!財前部長がちゃんと真面目にやっとるか見たらなアカンからな」
「…来るんはええですけど、俺忙しいんで。ケンヤさんの面倒は見れんので、いつも通り空気でお願いしますわ」
「おお、今まで通り空気な。よっしゃ任せとき……て、んなわけあるかい!空気とちゃうわ!そんなん思ってたんか!」
「財前」
「…白石部長。卒業おめでとうございます」
「ありがとうな。せやけど、ちゃうちゃう。俺はもう部長やないやろ?財前部長」
「あー…それですけど、部長って結構色々やらなあかんし面倒やから、やめよかと思ってたんですわ」
「そうそう、割と気いつかうんやで。皆の事をしっかり見とかなあかんし。…でも、お前やったら出来るやろ?」
「…話聞いてました?それに、買い被りすぎっすわ」
「そないな事あらへん。さっき言うたやろ。部長は皆の事をしっかり見とかなあかんて。…これでも、見てたんやで。せやから四天宝寺の事、お前に任そうと思うたんや」
「ー…。…、せやったら、たまにはあのゴンタクレの面倒見に来てくださいよ。毎日はキツいんで」
「はは、せやなあ。そうしよか」
桜の木の下で、花びらが風で舞う。
「名前」
自分を呼ぶ声が聞こえて振り向くと、彼の姿。急いで来てくれたのだろう、少し息があがっている。そして、見れば制服のボタンが上から下まで全て無くなっていて、何となく状況が想像できた。
「ボタン…凄いですね」
「これな…。袖のボタンまで無くなってん」
そう彼は苦笑いするが、ボタンが欲しい気持ちはわかる。好きな人と会えなくなるなら、せめてその人の物が欲しいと思う。
「せや、これ。いるかわからんけど、一応取っといたで」
彼の服のポケットから出てきたのは、制服のボタン。
「第二ボタンなんやけど」
「私、貰ってもいいんですか?」
「勿論や。…て、これでいらん言われたらめっちゃ俺恥ずかしいな思うててんけどな」
「そんな事ないです、嬉しい…。ありがとうございます」
よかった、と彼は笑って、私は貰ったボタンをぎゅっと優しく握りしめた。
「…先輩、卒業、おめでとうございます」
「ありがとう。…色々な事があったけど、いい3年間やったなあ」
「楽しかった事も、大変やった事も、テニスなんてそれの連続やった。それも大切な仲間と一緒やったから、やってこれたなて」
かけがえのない大事なテニス部の仲間。側からみていても本当に仲が良くて、硬く結ばれた絆があるんだって思う。
「俺や謙也は高校でもテニス続けようと思ってるけど、皆が皆テニスを続けるわけやない。…わかってても寂しいもんやな」
「先輩…」
「ー…せやけど、またどっかで皆とテニスすることもあるかもしれんし。なんだかんだで、皆OBとしてここに遊びに来そうやしなあ」
そう言って、嬉しそうに笑って。そんな先輩の、嬉しそうに笑う顔が好き。そう思うと、自然と自分まで笑顔になれてしまう。
「…その顔、めっちゃ好き」
「…え?」
「名前の笑った顔みたら、元気貰えるというか、ほっとするんや。…どんな時も、そうやった」
「隣にいてくれて、ありがとう」
私こそ、隣に居ることができて、夢みたいなのに。
彼の方を見ると、風でミルクティー色の髪が揺れている。
「私こそ、ありがとうございます、先輩…」
「ー…なあ、ひとつお願いがあるんやけど、聞いてくれるか?」
「?はい、私でよければ」
「"先輩"やなくて、名前で呼んでくれへんかな」
「………えっ」
「…いや?」
「そんな事ないです!ないです…けど…」
「…呼んで欲しい」
こちらに笑顔を向けてくれる彼はとても格好良くて、自分の顔が火照っているのがわかって、下を向いてしまった。
呼び捨てなんて、心臓に悪くてできそうにない。
「………く…蔵…」
「…もう一回言うて」
「蔵」
「ーー…アカン…これ、アカンわ…」
「え?…っ、」
顔をあげると、彼の包帯を巻いていない手が、私の頬に触れて。彼の顔が近づいてきて、唇が触れた。
「ホンマ、可愛い」
私は今、これ以上ないくらい真っ赤だと思う。
こんなに幸せでいいんだろうか。
「好きや。これからも、俺と一緒におってくれますか」
「ー…っ、喜んで。これからもよろしくお願いします」
「名前、ありがとう」
これからも、この人と一緒に居たい。そう思った。
白石先輩は皆の前で表情にこそ出さなかったけれど、後で2人になった時、彼は何も言わずに私を抱きしめた。
「ー…ごめんな、少しだけ、このまま」
こんな時だって、心配をかけないようにしている。そんな優しい彼の背中が少し震えている気がして、彼をそっと抱きしめ返した。
そんな夏が終わり、秋、冬。そして春がきた。
先輩達は卒業していく。
高校も皆一緒とはいかなくて、それぞれの道を歩いて行く。
「皆、別々になるんやな…」
「イヤやわ謙也くん、寂しい事言わんとってえな。けど、謙也くんと蔵りんは一緒の学校やろ」
「目指してるのが2人とも医療系やからやろけどな」
「小春ぅ…俺も寂しくてもう…ダメや…」
「ユウくん…。でも、美術系の高校受かって良かったやんか。ユウくんなら、ビッグになれるでぇ。それにアタシらは…どこにおっても一心同体、やろ♡」
「せや…そやな…うっ、小春うぅぅぅ!!せや!学校の壁なんて、なんて事ないわ!登って会いに行くで!」
「ユウくん♡」
「小春♡」
「なあ、皆卒業しても遊びに来てな!そんで、また一緒にテニスするんや!」
「勿論やで金ちゃん!財前部長がちゃんと真面目にやっとるか見たらなアカンからな」
「…来るんはええですけど、俺忙しいんで。ケンヤさんの面倒は見れんので、いつも通り空気でお願いしますわ」
「おお、今まで通り空気な。よっしゃ任せとき……て、んなわけあるかい!空気とちゃうわ!そんなん思ってたんか!」
「財前」
「…白石部長。卒業おめでとうございます」
「ありがとうな。せやけど、ちゃうちゃう。俺はもう部長やないやろ?財前部長」
「あー…それですけど、部長って結構色々やらなあかんし面倒やから、やめよかと思ってたんですわ」
「そうそう、割と気いつかうんやで。皆の事をしっかり見とかなあかんし。…でも、お前やったら出来るやろ?」
「…話聞いてました?それに、買い被りすぎっすわ」
「そないな事あらへん。さっき言うたやろ。部長は皆の事をしっかり見とかなあかんて。…これでも、見てたんやで。せやから四天宝寺の事、お前に任そうと思うたんや」
「ー…。…、せやったら、たまにはあのゴンタクレの面倒見に来てくださいよ。毎日はキツいんで」
「はは、せやなあ。そうしよか」
桜の木の下で、花びらが風で舞う。
「名前」
自分を呼ぶ声が聞こえて振り向くと、彼の姿。急いで来てくれたのだろう、少し息があがっている。そして、見れば制服のボタンが上から下まで全て無くなっていて、何となく状況が想像できた。
「ボタン…凄いですね」
「これな…。袖のボタンまで無くなってん」
そう彼は苦笑いするが、ボタンが欲しい気持ちはわかる。好きな人と会えなくなるなら、せめてその人の物が欲しいと思う。
「せや、これ。いるかわからんけど、一応取っといたで」
彼の服のポケットから出てきたのは、制服のボタン。
「第二ボタンなんやけど」
「私、貰ってもいいんですか?」
「勿論や。…て、これでいらん言われたらめっちゃ俺恥ずかしいな思うててんけどな」
「そんな事ないです、嬉しい…。ありがとうございます」
よかった、と彼は笑って、私は貰ったボタンをぎゅっと優しく握りしめた。
「…先輩、卒業、おめでとうございます」
「ありがとう。…色々な事があったけど、いい3年間やったなあ」
「楽しかった事も、大変やった事も、テニスなんてそれの連続やった。それも大切な仲間と一緒やったから、やってこれたなて」
かけがえのない大事なテニス部の仲間。側からみていても本当に仲が良くて、硬く結ばれた絆があるんだって思う。
「俺や謙也は高校でもテニス続けようと思ってるけど、皆が皆テニスを続けるわけやない。…わかってても寂しいもんやな」
「先輩…」
「ー…せやけど、またどっかで皆とテニスすることもあるかもしれんし。なんだかんだで、皆OBとしてここに遊びに来そうやしなあ」
そう言って、嬉しそうに笑って。そんな先輩の、嬉しそうに笑う顔が好き。そう思うと、自然と自分まで笑顔になれてしまう。
「…その顔、めっちゃ好き」
「…え?」
「名前の笑った顔みたら、元気貰えるというか、ほっとするんや。…どんな時も、そうやった」
「隣にいてくれて、ありがとう」
私こそ、隣に居ることができて、夢みたいなのに。
彼の方を見ると、風でミルクティー色の髪が揺れている。
「私こそ、ありがとうございます、先輩…」
「ー…なあ、ひとつお願いがあるんやけど、聞いてくれるか?」
「?はい、私でよければ」
「"先輩"やなくて、名前で呼んでくれへんかな」
「………えっ」
「…いや?」
「そんな事ないです!ないです…けど…」
「…呼んで欲しい」
こちらに笑顔を向けてくれる彼はとても格好良くて、自分の顔が火照っているのがわかって、下を向いてしまった。
呼び捨てなんて、心臓に悪くてできそうにない。
「………く…蔵…」
「…もう一回言うて」
「蔵」
「ーー…アカン…これ、アカンわ…」
「え?…っ、」
顔をあげると、彼の包帯を巻いていない手が、私の頬に触れて。彼の顔が近づいてきて、唇が触れた。
「ホンマ、可愛い」
私は今、これ以上ないくらい真っ赤だと思う。
こんなに幸せでいいんだろうか。
「好きや。これからも、俺と一緒におってくれますか」
「ー…っ、喜んで。これからもよろしくお願いします」
「名前、ありがとう」
これからも、この人と一緒に居たい。そう思った。