kmt短編
change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
季節は初夏。
春は過ぎ去り、だんだんと夏らしい気配が濃くなっていく。
今日はここ数日で1番暑い日のようだった。
まだ朝方というのに、動かずとも汗か滲み出してくる。
「はっ...!はぁっ...!!」
そんな日でも波瀬時雨は外で剣の素振りに勤しんでいた。一振のたびに玉の汗がキラリと跳ねる。
「あっつい...」
汗で着物が体に張り付いて気持ち悪い。
時雨は周囲を何度か見渡し、人が来る気配がないのを確認すると、上の着物を下ろした。
さらしを巻いているため全てが開放されるわけではないが、朝方の比較的涼しい空気が肌に当たってきて心地よい。
「今日は暑くなりそう...っ!」
んーっと伸びをして肺いっぱいに空気を取り込む。
そろそろ上を着なくては、と着物に手をかけた時、いきなり襖が開かれた。
「おはよー時雨ちゃん!朝ごはって!!あいぁああああーーー!!!え!時雨ちゃ!え!なになになにそのカッコ!!え!朝から俺にそんな素晴らしい格好を見せてくれるとか!なに!!?なんか汗でしっとりしててなんかやらしいよ!!俺もう朝ごはん要らないお腹いっぱい胸いっぱい!!!!時雨ちゃんの胸もいっぱ「ぎゃぁあああ!!!!」ゴハッ!!!」
善逸の鳩尾に鉄拳がかまされた。善逸は幸せそうな顔のまま倒れた。
ああ!見られてしまった!
よりによって善逸に!!!!
これでは起きてからも当分五月蝿くされるだろう。周囲の耳には確実に入ってしまう!私が外でさらし姿になるような変態と思われる可能性もあるのでは...!?
なんとか落ち着かせなくては!
さっと着物に手を通し、善逸の肩を掴み前後に揺さぶる
「善逸!ちょっと起きて!静かに起きて!!」
「んぐっ、うっ、おうっ、ぐふ、うぇ!?あ!れ!俺なんで寝てたんだっけ!?なんかお腹痛いんだけど!あれ!?ゆかちゃん!あれさっきのって夢だっけ!?なんか俺すげえいい夢みてたっ「しっ!」はえっ」
「善逸!それはお前の夢だ、お前の変態さが夢になって現れただけだ!!」
「え、なに?夢?夢なの?えぇー?え!?いや待って!夢だったら時雨ちゃんが俺の夢知ってるわけないし!夢じゃないしこれ!俺見た!時雨ちゃんが上脱いでたんだ!」
「ちょっ、善逸!ちょっと静かにして!誰かに聞かれたらどうするの!」
「んぐぅ!モガモガっ!んんーっ!!」
善逸の興奮が落ち着くまで口を両手で抑えてやった。初めは顔を真っ赤にしてもごもご言っていたがようやく収まったようだ。
「ハッ、ハッ、ごめ、俺、ゆかちゃんのさらし姿見たらつい...っていやいやいや!俺悪くないよ!?そりゃなるよ!誰でも興奮するでしょうが!!普段は隊服で見えない鎖骨は脇や谷間が汗で輝いてるの見ちゃったら!!するでしょうが興奮!!」
「分かった私が悪かったから声のボリューム抑えてお願い!」
確かに外であんな格好をしたのは良くなかったがそろそろ誰かが聞きつけてしまうかもしれない。
するとさっきとは変わって真面目な顔する善逸。
「ホントか?ホントに悪いと思ってんのか?ここには沢山男がいるんだぞ!...襲われたらどうすんだよ!」
「へ?襲われ!?そっそんなことある訳ないでしょ !私女だけどやわな女じゃないし」
これでも鬼殺隊の一員なのだ。並の女性よりは腕っ節に自信があるし、襲われても反撃出来る力はある。
「それなら、さ...」
一瞬で両手を捕まれ、善逸が私の上に覆いかぶさる。
「...逃げれるの?」
善逸が
近い
「待っ、善逸、これはっ」
善逸のにおいで肺がいっぱいになる。
「時雨ちゃん、顔、真っ赤」
身体の全てから熱が溢れてくる。
「心臓の音...早くなってる」
善逸の近さに、汗をかいていることへの恥ずかしさに、身体が思うように動かない。羞恥に目が潤んでくる。
「善逸...っ、ごめ、分かったからぁ...!」
「はっ...!」
いきなり善逸が離れて目の前が空で埋め尽くされる。
「ごめめめめめめめめごめごめんねぇえ!時雨ちゃんごめん!え!何してんだ俺!何俺時雨ちゃん押し倒してんの!?恥ずかしそうな時雨ちゃん可愛すぎて心臓止まるかと思ったぁ!脳内録画したぁ!!わぁあぁぁぁぁごめん!!ほんとに悪かったぁ許してぇええええぇえん」
さっきのあれは何だったのか。起き上がって善逸を見ると、いつもの善逸に戻ってわんわん騒ぎ続けている。
まだ心臓の拍動は戻らない。身体の熱も消えない。
善逸の顔が、熱の篭ったあの瞳が、離れない。
「...善逸」
「え!はい!何でしょうか!許してください何でもするします致しますぅ!」
「そ、その...うん、確かに、逃げれないね。鍛錬がまだまだ足りないね!これからは気をつけるよ!あ!私が上脱いでたの誰にも言わないでね!」
この熱がバレてしまわないようにさっさと離れてしまおうと立ち上がった。
が、それは彼の前では、無意味である。
「時雨ちゃん、その、俺、時雨ちゃんなら俺のこと余裕で投げ飛ばすと思ってた、ていうか実際投げ飛ばせるんだけどさ、なんか、その、時雨ちゃんすごく真っ赤になるし掴んだ腕熱いし何より時雨の音が...」
「言わないで!ぜ、善逸が悪いの!急にあんなことされたら誰だってこうなるでしょ!ていうか善逸だって顔真っ赤じゃない!」
私だってこんなことになるなんて思ってもみなかった。特に普段はヘタレですぐ泣いちゃう善逸にこんな反応をしてしまうなんて。
私は誰にでもこんな態度になるのだろうか。炭治郎でも伊之助でも。
ぐるぐる考えている内に善逸が近くまで来ていた。
さっきと同じ瞳。初夏の日差しのように、キラキラしてそれでいて確かな熱さを持っている瞳で。
「善逸...?」
「俺ね、知ってんだ。
人が誰かに
恋する音。」
春は過ぎ去り、だんだんと夏らしい気配が濃くなっていく。
今日はここ数日で1番暑い日のようだった。
まだ朝方というのに、動かずとも汗か滲み出してくる。
「はっ...!はぁっ...!!」
そんな日でも波瀬時雨は外で剣の素振りに勤しんでいた。一振のたびに玉の汗がキラリと跳ねる。
「あっつい...」
汗で着物が体に張り付いて気持ち悪い。
時雨は周囲を何度か見渡し、人が来る気配がないのを確認すると、上の着物を下ろした。
さらしを巻いているため全てが開放されるわけではないが、朝方の比較的涼しい空気が肌に当たってきて心地よい。
「今日は暑くなりそう...っ!」
んーっと伸びをして肺いっぱいに空気を取り込む。
そろそろ上を着なくては、と着物に手をかけた時、いきなり襖が開かれた。
「おはよー時雨ちゃん!朝ごはって!!あいぁああああーーー!!!え!時雨ちゃ!え!なになになにそのカッコ!!え!朝から俺にそんな素晴らしい格好を見せてくれるとか!なに!!?なんか汗でしっとりしててなんかやらしいよ!!俺もう朝ごはん要らないお腹いっぱい胸いっぱい!!!!時雨ちゃんの胸もいっぱ「ぎゃぁあああ!!!!」ゴハッ!!!」
善逸の鳩尾に鉄拳がかまされた。善逸は幸せそうな顔のまま倒れた。
ああ!見られてしまった!
よりによって善逸に!!!!
これでは起きてからも当分五月蝿くされるだろう。周囲の耳には確実に入ってしまう!私が外でさらし姿になるような変態と思われる可能性もあるのでは...!?
なんとか落ち着かせなくては!
さっと着物に手を通し、善逸の肩を掴み前後に揺さぶる
「善逸!ちょっと起きて!静かに起きて!!」
「んぐっ、うっ、おうっ、ぐふ、うぇ!?あ!れ!俺なんで寝てたんだっけ!?なんかお腹痛いんだけど!あれ!?ゆかちゃん!あれさっきのって夢だっけ!?なんか俺すげえいい夢みてたっ「しっ!」はえっ」
「善逸!それはお前の夢だ、お前の変態さが夢になって現れただけだ!!」
「え、なに?夢?夢なの?えぇー?え!?いや待って!夢だったら時雨ちゃんが俺の夢知ってるわけないし!夢じゃないしこれ!俺見た!時雨ちゃんが上脱いでたんだ!」
「ちょっ、善逸!ちょっと静かにして!誰かに聞かれたらどうするの!」
「んぐぅ!モガモガっ!んんーっ!!」
善逸の興奮が落ち着くまで口を両手で抑えてやった。初めは顔を真っ赤にしてもごもご言っていたがようやく収まったようだ。
「ハッ、ハッ、ごめ、俺、ゆかちゃんのさらし姿見たらつい...っていやいやいや!俺悪くないよ!?そりゃなるよ!誰でも興奮するでしょうが!!普段は隊服で見えない鎖骨は脇や谷間が汗で輝いてるの見ちゃったら!!するでしょうが興奮!!」
「分かった私が悪かったから声のボリューム抑えてお願い!」
確かに外であんな格好をしたのは良くなかったがそろそろ誰かが聞きつけてしまうかもしれない。
するとさっきとは変わって真面目な顔する善逸。
「ホントか?ホントに悪いと思ってんのか?ここには沢山男がいるんだぞ!...襲われたらどうすんだよ!」
「へ?襲われ!?そっそんなことある訳ないでしょ !私女だけどやわな女じゃないし」
これでも鬼殺隊の一員なのだ。並の女性よりは腕っ節に自信があるし、襲われても反撃出来る力はある。
「それなら、さ...」
一瞬で両手を捕まれ、善逸が私の上に覆いかぶさる。
「...逃げれるの?」
善逸が
近い
「待っ、善逸、これはっ」
善逸のにおいで肺がいっぱいになる。
「時雨ちゃん、顔、真っ赤」
身体の全てから熱が溢れてくる。
「心臓の音...早くなってる」
善逸の近さに、汗をかいていることへの恥ずかしさに、身体が思うように動かない。羞恥に目が潤んでくる。
「善逸...っ、ごめ、分かったからぁ...!」
「はっ...!」
いきなり善逸が離れて目の前が空で埋め尽くされる。
「ごめめめめめめめめごめごめんねぇえ!時雨ちゃんごめん!え!何してんだ俺!何俺時雨ちゃん押し倒してんの!?恥ずかしそうな時雨ちゃん可愛すぎて心臓止まるかと思ったぁ!脳内録画したぁ!!わぁあぁぁぁぁごめん!!ほんとに悪かったぁ許してぇええええぇえん」
さっきのあれは何だったのか。起き上がって善逸を見ると、いつもの善逸に戻ってわんわん騒ぎ続けている。
まだ心臓の拍動は戻らない。身体の熱も消えない。
善逸の顔が、熱の篭ったあの瞳が、離れない。
「...善逸」
「え!はい!何でしょうか!許してください何でもするします致しますぅ!」
「そ、その...うん、確かに、逃げれないね。鍛錬がまだまだ足りないね!これからは気をつけるよ!あ!私が上脱いでたの誰にも言わないでね!」
この熱がバレてしまわないようにさっさと離れてしまおうと立ち上がった。
が、それは彼の前では、無意味である。
「時雨ちゃん、その、俺、時雨ちゃんなら俺のこと余裕で投げ飛ばすと思ってた、ていうか実際投げ飛ばせるんだけどさ、なんか、その、時雨ちゃんすごく真っ赤になるし掴んだ腕熱いし何より時雨の音が...」
「言わないで!ぜ、善逸が悪いの!急にあんなことされたら誰だってこうなるでしょ!ていうか善逸だって顔真っ赤じゃない!」
私だってこんなことになるなんて思ってもみなかった。特に普段はヘタレですぐ泣いちゃう善逸にこんな反応をしてしまうなんて。
私は誰にでもこんな態度になるのだろうか。炭治郎でも伊之助でも。
ぐるぐる考えている内に善逸が近くまで来ていた。
さっきと同じ瞳。初夏の日差しのように、キラキラしてそれでいて確かな熱さを持っている瞳で。
「善逸...?」
「俺ね、知ってんだ。
人が誰かに
恋する音。」
1/1ページ