マイクロノベル

【蟹】夢を追うなら

2024/07/29 20:25
 いつも夢を追って生きてきた。
 夢の先がどうなるかなんて、考えたこともなかった。

 夢が追えなくなったとき、それは██の██だった。
 こういうときは泣けないものだと聞いていたが、私は泣いた。

 『劣勢の蟹』。
 人生が劣勢になったときに助けてくれる。
 そういったものがあると聞き、私は探すことにした。

 四方八方探したが、蟹はいない。
 いつしか、蟹を探し出すことこそが私の夢になっていた。
 薄々感じていた。蟹などいないと。

「ほんとにそう思った?」

 ば、と振り向くと、そこには――

 ―――。

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