マイクロノベル

【蟹】七夕のあくる日

2024/07/08 18:16
「蟹」
「うん?」
「昨日、商店街のとこ、七夕の短冊あったろ」
「あったね」
「あれ、何書いた?」
「えっ」
「お前も書いてただろ?」
「君は何書いたんだったっけ」
「おい忘れたのか。〝この生活がずっと続きますように〟だよ」
「あら~いじらしい」
「…………」
 そういえば、蟹にはあの短冊、見せていなかったような。
「蟹ぃ……謀ったな!」
「謀ってませ~ん。ちなみに僕は〝相方が元気でいられますように〟だよ」
「なんだその優等生な回答は」
「蟹としては普通じゃない?」
「そうかな」
「そうだよ」
「そうかあ……」
 俺はため息を吐き、空を見上げた。
「短冊、もう片付けられたんだろうか」
「だろうね」
「そうかあ……」
 見上げた先には青空が広がっていた。

コメント

コメントを受け付けていません。