ロッカーを開けるとそこは

 それもう行っちゃえばいいんじゃないですか、向こうに。
 みたいなことを言うんだろうな、お前は。
 なんやかんやで悩みを相談する相手はいつもお前だった。
 後輩が会社のロッカーから異世界に行ってしまって三年目。最初のうちはそうでもなかったが、だんだんきしみが出てきたような。こんなじとじとと降る雨のような気分になることなんて、三年前まではなかったのに。
 今年もロッカーにはお前からのチョコが入っていて、俺は休日都会に行って買った高級ココア詰め合わせの袋を返礼に入れた。
 あっちの仲間たちと飲んで楽しんだらいいんじゃないかと思って少し多めに買ったから、量は大丈夫だと思う。
 なんだか、疲れてきてしまったんだろうな。お前のいない生活に。
 取り残される生活がこれほど疲れるものだとは全く思っていなかった。
 だけどお前を心配させてもいけないし、来年もまたロッカーにチョコを入れなきゃいけないし、俺は生きてなきゃいけない。
 寮の食堂でチョコを食べながら0時のニュースを見る。
 こんな人生が来年も再来年もずっとずっと続くのだろうか。
 困らせるだけだし、そもそも届かないかもしれないなんて思いながら手紙をしたためて、ロッカーに入れた次の日。
「先輩!」
「え?」
「遊びに来ました!」
「は?」
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