たぬきかきつねのロンサムサバイブ
かつん、かつん、と音が鳴る。
白いドームの下、足を踏み出す度に床が鳴る。大理石、とやらだろうか。詳しくないので知らないが、きつねはそこそこヒールの高い靴を履いているので余計に音が鳴る。
「なんか……」
「……」
「宮殿みたいだな?」
「ふ」
「?」
「そうかもしれませんね」
「……」
実際に来たことはないが、ゲームとかに出てくる宮殿とかってこんな感じのイメージだ。最近のグラフィックやらがしっかりしたゲームとかだとこんな風に、踏み出す度にかつんかつんと音が鳴ったりもするし。
……俺の世界認識、ゲームの比率高すぎじゃないか!?
「今頃気付いたんですか」
「今頃気付いたよ!」
「たぬきくんは本当にゲームが好きですねぇ」
「逃避のためだけにやってたと思ってたけど……」
「世界認識が依拠するほどやってたってことですねぇ。小さい頃からやってたんですか?」
「やってたけど、親が厳しかったから1日30分だった」
「へえ、それはまた」
「隠れてやってひどく怒られて、隠されたりした」
「ああ、よく聞く話ですねぇ」
「そうだろ」
ヒト社会に入って、一獣暮らしをするようになってから結構ゲームを買って徹夜でやったりしたっけ。
「それでいつもそんなクマができてるんですねぇ」
「それは関係ないって」
「関係ないんですかぁ?」
「ない、たぶん……」
たぶんない!
「……」
かつん、かつん、かつん。
いつの間にか、俺たちはそれこそ大きな宮殿のようなものの入口まで来ていた。
「おお、すごい……けど、これ、」
ポータルがいつも置いてある遺跡と……似てないか?
いや、それだけじゃない。この街全体の雰囲気は……なんとなく、あの遺跡と似ているんだ。
「入りましょうか」
「……そうだな」
かつん、かつん。
宮殿の中も、床は同じ。色が違う石材でモザイク様になってはいるものの、立てる音は同じだった。
長い長い廊下を歩く。そういえばこれもあの遺跡と似ている。
廊下の壁、宮殿ならば絵画とかが飾ってあるのが定石だ。ここにも飾ってありはするのだが、その絵は全てぼやけてしまっており、何の人物が描いてあるのか判別することができなかった。
「変なところだな……」
「ふふ」
何か……違和感。俺はきつねの方を見る。表情がない。
どうしたのだろうか。具合でも悪いのか?
どうした、と訊こうとして、
「着きましたよ」
目の前には玉座の間らしき場所。
きつねはつかつかとその中央まで歩いていき、そして、右手をす、と上げた。
慌てて追い付く。
チキチキ、という音。そこからも、ここからも。
中空から現れた大量の「あの機械」が、俺たちを見ていた。
白いドームの下、足を踏み出す度に床が鳴る。大理石、とやらだろうか。詳しくないので知らないが、きつねはそこそこヒールの高い靴を履いているので余計に音が鳴る。
「なんか……」
「……」
「宮殿みたいだな?」
「ふ」
「?」
「そうかもしれませんね」
「……」
実際に来たことはないが、ゲームとかに出てくる宮殿とかってこんな感じのイメージだ。最近のグラフィックやらがしっかりしたゲームとかだとこんな風に、踏み出す度にかつんかつんと音が鳴ったりもするし。
……俺の世界認識、ゲームの比率高すぎじゃないか!?
「今頃気付いたんですか」
「今頃気付いたよ!」
「たぬきくんは本当にゲームが好きですねぇ」
「逃避のためだけにやってたと思ってたけど……」
「世界認識が依拠するほどやってたってことですねぇ。小さい頃からやってたんですか?」
「やってたけど、親が厳しかったから1日30分だった」
「へえ、それはまた」
「隠れてやってひどく怒られて、隠されたりした」
「ああ、よく聞く話ですねぇ」
「そうだろ」
ヒト社会に入って、一獣暮らしをするようになってから結構ゲームを買って徹夜でやったりしたっけ。
「それでいつもそんなクマができてるんですねぇ」
「それは関係ないって」
「関係ないんですかぁ?」
「ない、たぶん……」
たぶんない!
「……」
かつん、かつん、かつん。
いつの間にか、俺たちはそれこそ大きな宮殿のようなものの入口まで来ていた。
「おお、すごい……けど、これ、」
ポータルがいつも置いてある遺跡と……似てないか?
いや、それだけじゃない。この街全体の雰囲気は……なんとなく、あの遺跡と似ているんだ。
「入りましょうか」
「……そうだな」
かつん、かつん。
宮殿の中も、床は同じ。色が違う石材でモザイク様になってはいるものの、立てる音は同じだった。
長い長い廊下を歩く。そういえばこれもあの遺跡と似ている。
廊下の壁、宮殿ならば絵画とかが飾ってあるのが定石だ。ここにも飾ってありはするのだが、その絵は全てぼやけてしまっており、何の人物が描いてあるのか判別することができなかった。
「変なところだな……」
「ふふ」
何か……違和感。俺はきつねの方を見る。表情がない。
どうしたのだろうか。具合でも悪いのか?
どうした、と訊こうとして、
「着きましたよ」
目の前には玉座の間らしき場所。
きつねはつかつかとその中央まで歩いていき、そして、右手をす、と上げた。
慌てて追い付く。
チキチキ、という音。そこからも、ここからも。
中空から現れた大量の「あの機械」が、俺たちを見ていた。