たぬきかきつねのロンサムサバイブ

 レンガの道。
 あてもなく進んでいたところにそれが現れたものだから、これ幸いと俺は道を辿っていた。
 木々に埋もれてはいたがそのレンガに劣化した様子はなく、比較的新しい道なのだろうか、これは。
 ひょっとすると、ここが呪に呑まれる直前に作られたとかそういうのかもしれない。
 何か、役場とか、そういうところに繋がってたら楽だな。道訊けるし。
 あ、でも役場のヒトたちまたは獣たちも呪に呑まれてたら訊けないな。
 もしそうなってたら、地図だけ勝手に見せてもらおう。
 うむ、と一匹で頷く。
 背中のきつねはまだ起きる気配がない。
 まあそれはそうで、そんな簡単に解放されるものではないと言ったのはこいつだし、そうなのだろう。
 さっさと出て、目覚めさせなければな。なんだかんだでこいつが黙ってると旅が寂しい。
 ふと道が開ける。
 目の前には石造りの白い建物。
「……遺跡?」
 何を目的として作られたかはわからないが、元・たぬきの里にあった洞窟の内部と似た感じの、曇り空に照らされて輝く、遺跡のようなものがそこにあった。
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