いいツーツーの日

 メーデー、メーデー、メーデー。
 何もわからない、わからなくなってしまった。
 何を求めているのか。何を望んでいるのか。
 もとより望みなどない、存在しない。嫌われぬよう努力し下出に穏便に過ごす、それだけが私の全てだった。
 ところがどうだ。言ってしまった。友達に。つい、一言、自分の意見を。
 己を出しては馴染めない。己を出しては嫌われる。
 好いてはいけない。笑ってはいけない。安心してはいけない。安定してはいけない。常に困って、空回って、暗くて、憂鬱で。
 それが私だ。他でもない私自身。
 君の前にいるのは尊大な私だ。傲慢な私だ。自分の意見を言い、笑い、気分がくるくると変わる許されぬ姿。
 君の前でのみ許される姿。
 決して君が特別なんじゃない、ただ「どうでもいい」、それだけの理由。
 どうでもいい君に、どうでもいいはずの君に、ああ、私はわからなくなってしまった。不安で不安で仕方がない。君だけは、皆と同じになっては困るのだ。大事になっては困るのだ。すぐに関係を切れる、他人に戻れる、ふわふわとした軽い、どうでもいい存在、そうでなくては困る。そうでなくては。
 連絡などしたことがない、それだけ近くに君はいた。寄ってくるからどうでもいい。すぐ得られるからどうでもいい。そのはず、そのはずなのだ。
 そのはずだったのだ。
 おかしい。あの日から全てがおかしい。ぐるぐると、ぐるぐると、安定も、不安定も、消えてなくなるあの感覚。
 言っただろう? 友達じゃないって。君はまだ覚えてくれているのか?
 「くれている」? その感覚がもうおかしい。何も期待せずされることもない、それが我々の関係性だったはず。
 いや、そもそもどうでもいい君との間に関係性などというものが存在することがもう、
 届かない救難信号。
 メーデー、メーデー、崩れていく。
 明日の私に君はいない。
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