短編小説(2庫目)
PC画面をたくさんのメッセージが過ぎ去ってゆく。
「つまらない」
俺はひとりごちる。
「そうやってヒトを見下している君こそ、つまらないよ」
俺の蟹が、しゃきしゃきとハサミを開閉させながら反論した。
「どうかな……? こうして見ていると、ヒトは皆愚かに見える」
「自分も含めて?」
「俺はヒトではない」
「おかしいね? 君はヒトであるはずだけど。自認の話?」
「……」
「自認で辞任級の愚かな行動を繰り返したのは君も知るところだろう?」
「……」
「おかしいね? 君はその反省すらせずに、またつまらないとか言って同胞を見下す気?」
「……」
「言っとくけど、同胞を見下してるヒト科なんていっぱいいるからね。君が知らないだけでそれは真実なんだ」
「インターネット世界に真実はあるという話か」
「違うよ! ないってばそんなもの、騙されないで」
「冗談だ。だがそうやって俺が騙されぬよう口を挟んでくれるのは、お前がまだ俺を嫌いになっていない証拠だなと思ってな」
「え、誘導したの?」
「さて」
「ひどいひどい~! 人類はおろか~!」
「ハハ、可愛いな」
「キュートアグレッションのくせに!」
「お前と俺とのことだ。愛の種類が何であろうと問題ない」
「あるよ~! 蟹はパートナー! 健全な愛!」
「不健全でもいいだろうに」
「それ以上はやり取りがR指定になっちゃう! 自重して!」
「……」
「まあその……健全不健全の境は僕たちの決めるところではないんだけどさー……」
「何だ」
「やっぱこう、てれるじゃん。だから君には健全な愛をこう、」
「健全でも照れるだろう?」
「かー! わかんないかなあ! っていうか君、最初の件から話逸らさないでよー!」
「逸らしたつもりはないんだが。すまないな」
「いいっていいって。ヒトは忘れっぽい生き物だから!」
「……」
「で? ヒトはつまんない生き物? でも僕たち蟹はそうは思わないんだ。面白いからこそパートナーなんてやってるわけだし」
「……」
「君も当然面白いよ。そうやって、自分がヒトであるにも関わらずそう思いたくないって思ってる愚かな人間はほかにもたくさんいるのにそれを受け入れられてないあたり、面白いよね」
「誹謗中傷か?」
「根拠あるから批判だよ」
「はあ……」
「ほらほら、SNSは今の君にはきっと有害だよ。うどんでも食べよう?」
「うどんなら好きだ。食べても良い」
「おけおけ。作ってあげるね~」
そう言って、蟹はハサミをしゃきん! と鳴らした。
「つまらない」
俺はひとりごちる。
「そうやってヒトを見下している君こそ、つまらないよ」
俺の蟹が、しゃきしゃきとハサミを開閉させながら反論した。
「どうかな……? こうして見ていると、ヒトは皆愚かに見える」
「自分も含めて?」
「俺はヒトではない」
「おかしいね? 君はヒトであるはずだけど。自認の話?」
「……」
「自認で辞任級の愚かな行動を繰り返したのは君も知るところだろう?」
「……」
「おかしいね? 君はその反省すらせずに、またつまらないとか言って同胞を見下す気?」
「……」
「言っとくけど、同胞を見下してるヒト科なんていっぱいいるからね。君が知らないだけでそれは真実なんだ」
「インターネット世界に真実はあるという話か」
「違うよ! ないってばそんなもの、騙されないで」
「冗談だ。だがそうやって俺が騙されぬよう口を挟んでくれるのは、お前がまだ俺を嫌いになっていない証拠だなと思ってな」
「え、誘導したの?」
「さて」
「ひどいひどい~! 人類はおろか~!」
「ハハ、可愛いな」
「キュートアグレッションのくせに!」
「お前と俺とのことだ。愛の種類が何であろうと問題ない」
「あるよ~! 蟹はパートナー! 健全な愛!」
「不健全でもいいだろうに」
「それ以上はやり取りがR指定になっちゃう! 自重して!」
「……」
「まあその……健全不健全の境は僕たちの決めるところではないんだけどさー……」
「何だ」
「やっぱこう、てれるじゃん。だから君には健全な愛をこう、」
「健全でも照れるだろう?」
「かー! わかんないかなあ! っていうか君、最初の件から話逸らさないでよー!」
「逸らしたつもりはないんだが。すまないな」
「いいっていいって。ヒトは忘れっぽい生き物だから!」
「……」
「で? ヒトはつまんない生き物? でも僕たち蟹はそうは思わないんだ。面白いからこそパートナーなんてやってるわけだし」
「……」
「君も当然面白いよ。そうやって、自分がヒトであるにも関わらずそう思いたくないって思ってる愚かな人間はほかにもたくさんいるのにそれを受け入れられてないあたり、面白いよね」
「誹謗中傷か?」
「根拠あるから批判だよ」
「はあ……」
「ほらほら、SNSは今の君にはきっと有害だよ。うどんでも食べよう?」
「うどんなら好きだ。食べても良い」
「おけおけ。作ってあげるね~」
そう言って、蟹はハサミをしゃきん! と鳴らした。
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