短編小説(2庫目)
「相手の好意を素直に受け取れない人は」
「はいまた君は自縄自縛の言説を、今度はどこから拾ってきたんだい」
「数年前のSNS……」
「数年前? 今じゃなくて?」
「リフレインするんだよ……」
「そりゃまた困ったねえ」
「うん……俺が見てきた警句みたいな言説が、ことあるごとにリフレインする」
「すてちゃえー! えいっ!」
「おっと」
ひらり。俺は蟹のハサミをかわす。
「苦しんでるならまだしも、まだ考えてる途中なのに切るのはどうかと」
「そう? つらいことは切ってすっきりした方が楽じゃない?」
「んー……でもそれも俺の構成要素だから」
「おお……!」
「おお?」
「つよくなったねえ……!」
「そ、そうか?」
俺はてれ、と頬をかく。
「僕になんでもばしばし切らせてたらすかすかになっちゃうって気付いたのー?」
「いや気付いてはないというかそうなの?」
「そうだよ〜切りすぎ注意」
「お、おまえそれなのに切っちゃお〜とか言ってたの!?」
「うん!」
「うんじゃないんだよなあ……」
「だから、気を付けてね」
「んん?」
「蟹はこわいよ〜?」
「……こわいかな?」
「こわいこわい!」
「そ。……ま、ありがとな」
「何が?」
「教えてくれて」
「どういたしまして!」
蟹はぴん、とハサミを立てた。
「はいまた君は自縄自縛の言説を、今度はどこから拾ってきたんだい」
「数年前のSNS……」
「数年前? 今じゃなくて?」
「リフレインするんだよ……」
「そりゃまた困ったねえ」
「うん……俺が見てきた警句みたいな言説が、ことあるごとにリフレインする」
「すてちゃえー! えいっ!」
「おっと」
ひらり。俺は蟹のハサミをかわす。
「苦しんでるならまだしも、まだ考えてる途中なのに切るのはどうかと」
「そう? つらいことは切ってすっきりした方が楽じゃない?」
「んー……でもそれも俺の構成要素だから」
「おお……!」
「おお?」
「つよくなったねえ……!」
「そ、そうか?」
俺はてれ、と頬をかく。
「僕になんでもばしばし切らせてたらすかすかになっちゃうって気付いたのー?」
「いや気付いてはないというかそうなの?」
「そうだよ〜切りすぎ注意」
「お、おまえそれなのに切っちゃお〜とか言ってたの!?」
「うん!」
「うんじゃないんだよなあ……」
「だから、気を付けてね」
「んん?」
「蟹はこわいよ〜?」
「……こわいかな?」
「こわいこわい!」
「そ。……ま、ありがとな」
「何が?」
「教えてくれて」
「どういたしまして!」
蟹はぴん、とハサミを立てた。
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