短編小説(2庫目)

 ……で全ての人類がいなくなったので、俺は一人暇をしている。
 全ての動物もいなくなったし、植物もなくなった。
 俺も飢えていなくなるのは時間の問題だろう、と思うだろ?
 全ての人類がいなくなるというのはどういうことかというと、話しかけられないということだ。
 孤独が続く。
 誰でも良いから話したくなる。
 けれど、鳥すらいないこの世界では何とも話すことはできない。
 あまり外に出てはいけないから引きこもっているのだが、寂しくて寂しくて他の存在を探そうと、防護服を着て歩き回る。
 誰もいない。
 しかも暑い。
 熱中症で倒れかけてほうほうのていで家……? まで帰ってきた。
 地球最後の人類。
 そんな言葉が思い浮かぶ。
 地球最後の人類だから、生き延びねばならない。
 一人しかいないのに?
 遺された装置で単為生殖をして己を増やし、いつかは人類の再興を。
 食べ物もないのに?
 増えなければ食べ物もなくならず、ずっと安寧のまま人生を終えられる。
 本当はもっと人を養うはずだった食べ物の備蓄がある。
 だから俺は安寧に暮らせる……そのはず。
 だと思ったが、おそらく俺は歯周病からくる生活習慣病で命を落とすことだろう。
 終わった世界に歯医者はいない。
 俺が虫歯菌持ちだったことを恨むがいい、消えていった人たちよ。
 人類は俺で終わります。

 そんな話。
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