短編小説(2庫目)
「ねえ君。親友っている?」
蟹がおもむろに聞いてくる。
「いない。病にかかった際、ほとんどいなくなった」
「薄情だねえ」
「そうかな? いやな目に遭ったんだからいなくなるのは当然じゃないか?」
「まあ、そうかもね」
「自分の方がいなければよかったと思ってるよ、今は」
「そんなこと言わないでおくれよ」
「んん……ありがとう、蟹。でもなあ。言葉だけでも他人は傷付くし嫌な思いもするんだよ」
「それは君にも言えるんじゃないの?」
「俺は仕方ないんだ。加害者だから」
「そうやって加害者の立場に立って反省を示して、ずっと暗い気持ちで生きてくつもり?」
「そうだが?」
「仕方がない奴だねえ、君は」
「そうだと言ってるだろ? それとも蟹はそれ以外の生き方を知ってるとでも言うのか?」
「全部忘れて僕と一緒に生きるとか」
「……」
「よくない?」
「いいな。……やってくれ」
「はーい」
しゃきん。という音がして、俺の悩みは無くなった。
何がなくなったのかもわからなくなったので、今回はそれで終わり。
蟹がおもむろに聞いてくる。
「いない。病にかかった際、ほとんどいなくなった」
「薄情だねえ」
「そうかな? いやな目に遭ったんだからいなくなるのは当然じゃないか?」
「まあ、そうかもね」
「自分の方がいなければよかったと思ってるよ、今は」
「そんなこと言わないでおくれよ」
「んん……ありがとう、蟹。でもなあ。言葉だけでも他人は傷付くし嫌な思いもするんだよ」
「それは君にも言えるんじゃないの?」
「俺は仕方ないんだ。加害者だから」
「そうやって加害者の立場に立って反省を示して、ずっと暗い気持ちで生きてくつもり?」
「そうだが?」
「仕方がない奴だねえ、君は」
「そうだと言ってるだろ? それとも蟹はそれ以外の生き方を知ってるとでも言うのか?」
「全部忘れて僕と一緒に生きるとか」
「……」
「よくない?」
「いいな。……やってくれ」
「はーい」
しゃきん。という音がして、俺の悩みは無くなった。
何がなくなったのかもわからなくなったので、今回はそれで終わり。
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