短編小説(2庫目)
今年の冬はあんまりにも寒かったから、このまま地球が凍って終わるのかと思った。
そう蟹に言ったら、
「そんな簡単に地球が凍ったら苦労しないよ」
と言われた。
「そうは言っても気象学って難しいんだから、突然地球が凍るかもしれないじゃないか。スノーボールアースだよ」
「それはね……人間の活動が弱火になって、二酸化炭素の排出が突然なくなったらなる」
「なる!?」
「あっはっは、冗談だよ」
「なんだ。冗談かあ……」
「それにしても君はこのレイヤー機能を理解していないらしい。僕たちがいるのはその寒かったり滅んだりする地球とは別位相の世界なんだよ」
難しいことを考えると頭が痛む。
「病気の後遺症かもね~……」
俺の病気については怖いことがいっぱい言われているのをネットで読んだ。
「そんな記事読まないで~。アク禁にするよ。えいっ」
ぱち。そんな音がして、宙に浮いた画面が消えた。
「かっこいいな……」
「でしょ?」
冗談だか冗談じゃないんだかわからないことばかり言うこの蟹に俺はたまに不安を覚えるけれど、
それでも。
「どしたの?」
無邪気な目で聞いてくるこの蟹を、俺は憎むことができないのであった。
そう蟹に言ったら、
「そんな簡単に地球が凍ったら苦労しないよ」
と言われた。
「そうは言っても気象学って難しいんだから、突然地球が凍るかもしれないじゃないか。スノーボールアースだよ」
「それはね……人間の活動が弱火になって、二酸化炭素の排出が突然なくなったらなる」
「なる!?」
「あっはっは、冗談だよ」
「なんだ。冗談かあ……」
「それにしても君はこのレイヤー機能を理解していないらしい。僕たちがいるのはその寒かったり滅んだりする地球とは別位相の世界なんだよ」
難しいことを考えると頭が痛む。
「病気の後遺症かもね~……」
俺の病気については怖いことがいっぱい言われているのをネットで読んだ。
「そんな記事読まないで~。アク禁にするよ。えいっ」
ぱち。そんな音がして、宙に浮いた画面が消えた。
「かっこいいな……」
「でしょ?」
冗談だか冗談じゃないんだかわからないことばかり言うこの蟹に俺はたまに不安を覚えるけれど、
それでも。
「どしたの?」
無邪気な目で聞いてくるこの蟹を、俺は憎むことができないのであった。
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