短編小説(2庫目)

 普通の人ってのが何かなんてわからないが、普通の人は高校時代と現在が断絶せずに繋がっているらしい。
「いや普通の人って何だよ!?」
「普通の人ってのは特に乖離とか起こしてない人のことだよ」
「乖離とは」
「精神的ストレスとかで記憶がぐちゃぐちゃになったり朧気になったり消えたりとかそういう」
「怖……」
「怖いだろ。そうだろ。だから乖離起こしてる奴は普通じゃないんだよ」
「待ってじゃあ君もしかして」
「そうだよ俺は乖離してる、してるけど何か悪いことある? いいよな普通の人間は無邪気に高校時代の話ができて」
「いや待ってなんでそんな捻くれてるの、俺の方も乖離してる可能性あるじゃん」
「ないよ」
「えーなんで」
「そういう“設定”だから」
「君は……この世界の何なんだ……?」
「何でもないよ。ただそういうセリフを言ってみたかっただけ」
「ええ~」
「さ、そろそろ行こうよ。長居しすぎた」
「そろそろって、まだ20時だろ。二次会でもするの?」
「締めのラーメン食べるんだよ」
「は~そういうところは“普通”だな」
「普通を目指してるんだよ。悪かったな」
「悪かないけど……やっぱり君は捻くれてるよ」
「ハハハ」
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