短編小説(2庫目)

 定期的に不定期に、██はやってくる。
 クラゲを背負って、はたまた何かと一緒に、俺はそれに向かう。
 
 今年もそれがやってきた。
 
 何も知らないのね、と呟く奴。そうだ、俺は何も知らない。笛を吹き、羊と遊んで暮らしてきた。
 羊は俺に重くのしかかり、一日中続く眠気と倦怠感をプレゼントした。
 
 俺は夕方に起き、それに向かった。
 羊が俺の肩にのしかかっている状態で向かった。
 
 入り口で書類を受け取ると、俺はそれを済ませた。
 次に蟹に選ばれる奴を決める投票だ。
 そんな投票なくていいと言われているし、投票の結果なんて特に蟹に影響もしないのに、投票は行われている。
 
 昔は政治で人を選ぶ投票があったらしい。
 今の世界は蟹に支配され、政治で人を選ぶ投票はなくなってしまった。
 
 ……なんてことが全部俺の妄想だったらどうする?
 政治で人を選ぶ投票は普通に行われていて、蟹に関するあれやこれやは俺がただそれが羨ましいから否定する妄想をしているだけ、かもしれないし。
 
 わかるわけがない。
 いつもばらばらになって終わるのだ。
 
 そう。今日もこれで、
 おわり。
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