短編小説(2庫目)
蟹なのか、ざりがになのかどっちなんだ……?
目の前の蟹だかざりがにだかはもやもやとしてよく見えない。
俺は考え込む。
蟹であれば、絶望した俺のもとに現れた救世主だ。
ざりがにであれば、ただのざりがにだ。
うーむ。
俺は考え込む、考え込む。
そうだ。
本人(蟹・ざりがに)に聞いてみればいいんだ。
「あなたはざりがにですか?」
いいえ。
「あなたは蟹ですか?」
いいえ。
「ええ、じゃあ……何なんですか」
『それを答えてしまえば、君は僕に頼るだろう?』
「頼っちゃダメなんですか」
『頼ってもいい。が、君の性格上、曖昧にしておいた方がよいのではないかと僕は判断したんだ』
「はあ……」
『だが一緒には住む』
「一緒に住むんですか」
この膝下サイズの蟹だかざりがにだかわからない生物は俺と一緒に住むという。
いやわけわかんねえ。
なんで?
『今、なんで? と思っただろう』
「思いましたが」
『うどんを作ってやろう』
「う、うどん」
『好物だろう』
「そうですが」
『よかったな!』
蟹かざりがにかわからない生物は俺の膝をぽんぽんと叩いた。
目の前の蟹だかざりがにだかはもやもやとしてよく見えない。
俺は考え込む。
蟹であれば、絶望した俺のもとに現れた救世主だ。
ざりがにであれば、ただのざりがにだ。
うーむ。
俺は考え込む、考え込む。
そうだ。
本人(蟹・ざりがに)に聞いてみればいいんだ。
「あなたはざりがにですか?」
いいえ。
「あなたは蟹ですか?」
いいえ。
「ええ、じゃあ……何なんですか」
『それを答えてしまえば、君は僕に頼るだろう?』
「頼っちゃダメなんですか」
『頼ってもいい。が、君の性格上、曖昧にしておいた方がよいのではないかと僕は判断したんだ』
「はあ……」
『だが一緒には住む』
「一緒に住むんですか」
この膝下サイズの蟹だかざりがにだかわからない生物は俺と一緒に住むという。
いやわけわかんねえ。
なんで?
『今、なんで? と思っただろう』
「思いましたが」
『うどんを作ってやろう』
「う、うどん」
『好物だろう』
「そうですが」
『よかったな!』
蟹かざりがにかわからない生物は俺の膝をぽんぽんと叩いた。
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