短編小説(2庫目)
「ハンバーガーが食べたい」
空調のきいた部屋、座卓に座ったまま俺は言う。
「そうは言っても」
「食べたいんだ……」
「前食べて気持ち悪くなったの忘れた~?」
そう、俺は胃腸が強くない。以前蟹の静止を振り切って食べたときは気持ち悪くなってしまった。
「だがジャンキーな食べ物はおいしいというじゃないか」
「身体に悪いから美味しいのさ。油分と塩分の塊だよ」
「蟹までそんなSNSみたいなことを言うと思わなかった!」
「な、泣かないでよ~困ったな~…………そうだ!」
ぽん、と蟹がハサミを打った。
「はい! ハンバーガー! あとポテト!」
「どういう風の吹き回しだ」
俺が蟹を睨むと、蟹はあははと笑った。
「油分と塩分の『身体に悪さ』だけを切ったのさ。食べてみな」
「…………」
俺はハンバーガーにぱくりとかぶりつく。
「あっおいし……くない」
「あっやっぱり駄目かあ……」
「わかってたならなんでやったんだ……」
「料理は実験、って言うし」
「責任持って食えよ……」
「え、いいけど」
蟹の口がわしゃあと空いて、ハンバーガーとポテトをまとめて呑みこんだ。
「怖っ!」
「こわくないよ~」
「怖いって」
「わはは」
夏だがもっと涼しくなった。
空調のきいた部屋、座卓に座ったまま俺は言う。
「そうは言っても」
「食べたいんだ……」
「前食べて気持ち悪くなったの忘れた~?」
そう、俺は胃腸が強くない。以前蟹の静止を振り切って食べたときは気持ち悪くなってしまった。
「だがジャンキーな食べ物はおいしいというじゃないか」
「身体に悪いから美味しいのさ。油分と塩分の塊だよ」
「蟹までそんなSNSみたいなことを言うと思わなかった!」
「な、泣かないでよ~困ったな~…………そうだ!」
ぽん、と蟹がハサミを打った。
「はい! ハンバーガー! あとポテト!」
「どういう風の吹き回しだ」
俺が蟹を睨むと、蟹はあははと笑った。
「油分と塩分の『身体に悪さ』だけを切ったのさ。食べてみな」
「…………」
俺はハンバーガーにぱくりとかぶりつく。
「あっおいし……くない」
「あっやっぱり駄目かあ……」
「わかってたならなんでやったんだ……」
「料理は実験、って言うし」
「責任持って食えよ……」
「え、いいけど」
蟹の口がわしゃあと空いて、ハンバーガーとポテトをまとめて呑みこんだ。
「怖っ!」
「こわくないよ~」
「怖いって」
「わはは」
夏だがもっと涼しくなった。
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