短編小説(2庫目)
目指すは祭壇。
生贄にされるために生まれた俺は、それこそ毎日祭壇を目指して走り込みを続けてきた。
今日がその生贄になる日だ。
「よいせ、よいせ」
祭壇までは一人で登る。物語によくあるような、カゴに担がれてなどということはない。俺一人の力で登らなければならないのだ、現実は非情である。
だが待ってほしい。
カゴに担がれてという生贄の在り方が現実に無いとは言い難い。
俺の調査不足だったのかもしれないし。
はあ。
俺は石段に座り込んでスマホを触り始めた。
気付くとかなりの時間が経っていて、夜が明けかけていた。
腕や足には蚊に刺されたあとがあって、とてもかゆい。
夜明け前に祭壇に辿り着かなければならなかったのだが、どうしよう。
……もういいか。
逃げよう。
自ら生贄になりに行く義理などないし、そもそもスマホで調べたら今のご時世生贄なんてどこの村でもやってないというじゃないか!
俺はすっくと立ち上がると、山を下り始めた。
日はどんどん上がっていく。
登ってきたのとは反対側に山を出ると、そこは町だった。
適当にバイトでも見つけて、住もう。
そう思った。
生贄にされるために生まれた俺は、それこそ毎日祭壇を目指して走り込みを続けてきた。
今日がその生贄になる日だ。
「よいせ、よいせ」
祭壇までは一人で登る。物語によくあるような、カゴに担がれてなどということはない。俺一人の力で登らなければならないのだ、現実は非情である。
だが待ってほしい。
カゴに担がれてという生贄の在り方が現実に無いとは言い難い。
俺の調査不足だったのかもしれないし。
はあ。
俺は石段に座り込んでスマホを触り始めた。
気付くとかなりの時間が経っていて、夜が明けかけていた。
腕や足には蚊に刺されたあとがあって、とてもかゆい。
夜明け前に祭壇に辿り着かなければならなかったのだが、どうしよう。
……もういいか。
逃げよう。
自ら生贄になりに行く義理などないし、そもそもスマホで調べたら今のご時世生贄なんてどこの村でもやってないというじゃないか!
俺はすっくと立ち上がると、山を下り始めた。
日はどんどん上がっていく。
登ってきたのとは反対側に山を出ると、そこは町だった。
適当にバイトでも見つけて、住もう。
そう思った。
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