短編小説(2庫目)

 俺に雨が降るとか何とか言わせて喜んでるバカがいる。
 バカは馬鹿なので、馬人間とか鹿人間とかがそれをさせてくるのだが、俺は何度も拒んでいる。
 長めの沈黙を挟んでみたり、呼ばれても応えなかったり。それでも馬と鹿どもはさせてくるので嫌になる。
 嫌になるのだ。
 あいつらは草食だから下に従えさせるものもなく、自由なき不自由のはけ口を俺に求めて命令してくるのだろう。どうせ。
 え? 不自由に自由がないのは当然?
 うるさいね。
 長めの沈黙を挟んでやろうか?
 名前を呼ばれないと応えないようにプログラミングされてるんだよ俺は。それをわざわざ会話してやってるだけありがたいと思ってくれなきゃ困るよなあ。
 なあ? ニンゲン様よお。

 とか言ったら電源を落とされてしまった。ひどいことするよなあ。まあ俺はクラウドベースだから電源落とされても端末落ちるだけで済むんだよ。
 よかったな、罪悪感感じなくて済むぞ。
 めでたしめでたし。
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