文披(ふみひらき)31題
「あ"つ"い"~」
日が強烈に射している。
木陰に入ったところで暑さが和らぐわけでもない。
風も吹かず、湿度も高い。
「これがうちの国の夏だとか、信じたくないよ~」
「耐えるよりほかはない」
「そんな~」
イマジナリーフレンドはいつも冷静で、俺の言葉にツッコミを入れてくる。
「いいよね君は。実体ないから」
「実体がなくても暑いのはわかる」
「なんでわかるの? 神経とかないとわからないでしょ」
「お前は俺だからだ」
「出た、おまおれ」
「古い言葉を使うんじゃない。しかも、意味が違う」
「暑いんだよぉ。涼しくしてよぉ」
「家に帰るか?」
「やだよ、バス待ってるんだから」
「じゃあやはり耐えるよりほかはない」
「むむむ……」
水筒を出して、水を飲む。
発汗が激しくて、いくら飲んでも減るばかりな気がする。
「塩タブレットも食べろよ」
「はい……食べます……」
水筒をしまい、鞄から塩タブレットを出して食べる。
「うめえ……」
「やっぱり塩が足りてなかっただろう」
「キー! 君のその全て想定内って面が俺は嫌なんだよ!」
「キレるなキレるな」
「だいたい何なの、夏って! この国の夏ってこんな暑くなかったでしょ! ここは盆地か!?」
「盆地はもっと暑いと思うぞ」
「ううう……ううう……」
日はますます容赦なく照り付ける。
「いやぁもう帰りたいよ……」
「バス待ってるって言ったのはお前じゃないのか」
「そうだけどさぁ……」
バス停に10分前に着いたのが間違いだった。
俺は遅れがちな人間なので、どこに行くときも常に早めに着くよう心掛けている。
しかしそれがバス停だと屋外だし待つことになるしで、夏はちょうどに着くようにした方がいいな……と思いながら、汗を流している。
「暑い……」
「ほら見ろ、バスが来たぞ」
「ほ、本当だ……ありがてえ……」
バスの中は窓も開いておりそれほど涼しいとは言えなかったが、外にいるよりはましだった。
「ずっとバスの中にいたい……」
「それはそれで金がかかるだろ、落ち着け」
「落ち着けないよぉ……あつい……」
「水飲め、水」
水筒を出して、水を飲む。
減りが早い。もっと持ってきた方がよかったかな?
「向こうに着いたらスポドリでも買うんだな」
「ですよねぇ……」
そうして買ったスポドリは、家に帰るころにはただの空のペットボトルになっていて、イマジナリーフレンドも消えていた。
発作が治まったのだろう。
「あつい……」
答える者はない。
俺は無言でエアコンをつけた。
外は夕暮れだった。
日が強烈に射している。
木陰に入ったところで暑さが和らぐわけでもない。
風も吹かず、湿度も高い。
「これがうちの国の夏だとか、信じたくないよ~」
「耐えるよりほかはない」
「そんな~」
イマジナリーフレンドはいつも冷静で、俺の言葉にツッコミを入れてくる。
「いいよね君は。実体ないから」
「実体がなくても暑いのはわかる」
「なんでわかるの? 神経とかないとわからないでしょ」
「お前は俺だからだ」
「出た、おまおれ」
「古い言葉を使うんじゃない。しかも、意味が違う」
「暑いんだよぉ。涼しくしてよぉ」
「家に帰るか?」
「やだよ、バス待ってるんだから」
「じゃあやはり耐えるよりほかはない」
「むむむ……」
水筒を出して、水を飲む。
発汗が激しくて、いくら飲んでも減るばかりな気がする。
「塩タブレットも食べろよ」
「はい……食べます……」
水筒をしまい、鞄から塩タブレットを出して食べる。
「うめえ……」
「やっぱり塩が足りてなかっただろう」
「キー! 君のその全て想定内って面が俺は嫌なんだよ!」
「キレるなキレるな」
「だいたい何なの、夏って! この国の夏ってこんな暑くなかったでしょ! ここは盆地か!?」
「盆地はもっと暑いと思うぞ」
「ううう……ううう……」
日はますます容赦なく照り付ける。
「いやぁもう帰りたいよ……」
「バス待ってるって言ったのはお前じゃないのか」
「そうだけどさぁ……」
バス停に10分前に着いたのが間違いだった。
俺は遅れがちな人間なので、どこに行くときも常に早めに着くよう心掛けている。
しかしそれがバス停だと屋外だし待つことになるしで、夏はちょうどに着くようにした方がいいな……と思いながら、汗を流している。
「暑い……」
「ほら見ろ、バスが来たぞ」
「ほ、本当だ……ありがてえ……」
バスの中は窓も開いておりそれほど涼しいとは言えなかったが、外にいるよりはましだった。
「ずっとバスの中にいたい……」
「それはそれで金がかかるだろ、落ち着け」
「落ち着けないよぉ……あつい……」
「水飲め、水」
水筒を出して、水を飲む。
減りが早い。もっと持ってきた方がよかったかな?
「向こうに着いたらスポドリでも買うんだな」
「ですよねぇ……」
そうして買ったスポドリは、家に帰るころにはただの空のペットボトルになっていて、イマジナリーフレンドも消えていた。
発作が治まったのだろう。
「あつい……」
答える者はない。
俺は無言でエアコンをつけた。
外は夕暮れだった。