短編小説(2庫目)

 何が何だかわからないがいつの間にか俺は引きこもりになっていて、何が何だかわからないがいつの間にか世界は滅びかけていて、明日にも死ぬかもしれない! 俺はどうする?

1.大切な人に会いに行く

 残念! 俺ずっと引きこもってたから友達いないんだよね! そんでもって独り暮らし! 強いて言えば二次元のキャラクターが大事な人かな!? 次元超えられるんなら会いに行けたんだがな! そうだファンレターでも送るか!

 と思ったが、こんな時期にファンレターなど送っても迷惑になるだけだと思ったので俺は書くのをやめた。

2.散財する

 ずっと欲しかったゲームたくさん買うか! 世界が滅びるまでゲームで遊びまくるぞー! 俺ゲーム好きなんだよね! 引きこもってから全く遊ばなくなっちゃったけどね! なんかゲームする気力がわかなくて、寝てる方が楽って感じ、大人になっちまった悲しき男の叫びなのかなー!? ゲーム買うぞ!

 と思ったが、いざ買おうとするとでも別にこれそんなほしくないしな……と思ったし、買ってもプレイする気力がないし、無理矢理プレイしたところで疲れてしまって本当に楽しかったとは言えない気がした。
 俺は世界が終わる瞬間までゲームができるか? 空が赤くなってサイレンが鳴っても平然とゲームができるか?
 そもそもこのゲーム機は充電がそんなにもたない。インフラが壊れて充電できなくなったら終わってしまう。

 じゃあゲームはだめだな! 今戦ってる国に寄付しよう!

 寄付?

 粛清が始まったら寄付なんてできるわけがない。
 じゃあ寄付はだめだな。

 それならどう散財する?

 ……。

 お金を使い慣れていない俺はそれ以上の散財の対象を思い付くことができなかった。結局貧乏人は死ぬまで貧乏人なのだ。愚か。それしか言葉がない。

 俺は散財するのをやめた。

3.外に出る

 却下。

4.

 もうない。何も思い付かない。ずっと引きこもっていたので思考力は衰え、考えるための体力、身体も衰え、何も考えられない。

 俺は諦めることにした。
 世界が滅ぶ瞬間までニュースを見て震え続けよう。
 インフラが止まってニュースが止まったら、いつ来るかわからない破滅に怯えて布団にくるまろう。
 寝ている間に終末が来たなら幸いだ。
 でもきっと、うるさい音で目が覚めてしまうのだろうな。
 終わりだ。
 何もかもが終わり。

 そうやって、きっとすぐにやってくる。
 終わるのだ。

 サイレン。
 終末は成った。
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