「メリークリスマス」
「なんだくりすます、どうした」
「クリスマスチョコがありますよ」
「チョコ？」
「今日はクリスマスです」
「うん……？」
　はい、とチョコを渡される。
　大きな、ハート型の。
「あ……バレンタインか！？」
「いえ、クリスマスです」
「あ、クリスマスか……」
　バレンタイン。
　俺にはとんと縁のない行事ではあったがまあ今はいいんだ別に。義理チョコは時代遅れみたいになってるしそもそも俺は引きこもりだし誰からももらえるはずがない……って。今くりすますからもらったんだった。
　チョコ。
　ハート型。
「本命？」
「プレゼントですよ」
「あ、プレゼントか……」
　プレゼントは本命なのか？
　いや本命でも本命じゃなくてもなんでもいいんだが、とりあえず本命かどうか確かめておくのは大事っていうかしかしこれが本命であっても俺特に返せるものない、うどんぐらいか？
「僕とあなたは友達ですからね」
「友達……だったらもらってばっかりじゃだめだな、ホワイトデー……楽しみにしといてくれ」
「クリスマスですね？ ありがとうございます」
「おう！」
　そうして俺はチョコを冷蔵庫にしまった。