短編小説
「まやかしとはなんですか」
「まやかしとは蝶、舞うもの」
「そうとも言えます」
「本当は何なんだ」
「まやかしはまやかし、それ以外の何者でもありません」
「それじゃ、まやかしを捕らえることはできないのか」
「それはまた話が違ってきますから」
「できるのか?」
「できるできないを確定させてしまうとまやかしはまやかしでなくなる。明かされた瞬間、それはまやかしではなくただの事実になるでしょう」
「あんたの話はわかりにくい」
「そうですか? ……でも、あなたは聞いてくれるでしょう」
「……それは」
「たぶんそれも……まやかしにしておいた方がいいのでしょうね」
(7月拍手・まやかし)
「まやかしとは蝶、舞うもの」
「そうとも言えます」
「本当は何なんだ」
「まやかしはまやかし、それ以外の何者でもありません」
「それじゃ、まやかしを捕らえることはできないのか」
「それはまた話が違ってきますから」
「できるのか?」
「できるできないを確定させてしまうとまやかしはまやかしでなくなる。明かされた瞬間、それはまやかしではなくただの事実になるでしょう」
「あんたの話はわかりにくい」
「そうですか? ……でも、あなたは聞いてくれるでしょう」
「……それは」
「たぶんそれも……まやかしにしておいた方がいいのでしょうね」
(7月拍手・まやかし)
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