短編小説
「待って待って、追いつけないよ」
「頑張れーあとちょっとー頑張れー頑張れー」
「ひい……ふう……」
「頑張れー、負けるなー」
◆
「待って……無理……追いつけないよ……」
「頑張って頑張って、気合だよ気合! あ、気合って死語?」
「待って……本当に無理だよぉ……」
「頑張って頑張って!」
◆
「待って待って、追いつけないよ」
「……もちろん」
「……え?」
「待ってあげるよ、僕の優しさに感謝して」
「君……」
「どうしたの」
「なんか今日、おかしくない?」
「僕はいつも通りだよ」
「翼の色もいつもと違くない? イメチェンした?」
「いつもと同じだよ?」
「そう? それならいいけど」
◆
「待って待って……あれ?」
いない。
どこにも。
「君ー? どこに行ったのー?」
見回しても君のきの字もない。
「おかしいな……」
ひらり、と黒い羽根が落ちてきて、見上げると――
(おわり)
「頑張れーあとちょっとー頑張れー頑張れー」
「ひい……ふう……」
「頑張れー、負けるなー」
◆
「待って……無理……追いつけないよ……」
「頑張って頑張って、気合だよ気合! あ、気合って死語?」
「待って……本当に無理だよぉ……」
「頑張って頑張って!」
◆
「待って待って、追いつけないよ」
「……もちろん」
「……え?」
「待ってあげるよ、僕の優しさに感謝して」
「君……」
「どうしたの」
「なんか今日、おかしくない?」
「僕はいつも通りだよ」
「翼の色もいつもと違くない? イメチェンした?」
「いつもと同じだよ?」
「そう? それならいいけど」
◆
「待って待って……あれ?」
いない。
どこにも。
「君ー? どこに行ったのー?」
見回しても君のきの字もない。
「おかしいな……」
ひらり、と黒い羽根が落ちてきて、見上げると――
(おわり)
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