短編小説

 チョコをバリバリ食う。
「バリバリ!」
 チョコをバリバリ食う。
「バリバリ!」
「なんでそこで合いの手入れてくるの?」
「僕もチョコ食べたい!」
「ええ……やだ」
「なんで~」
「俺のチョコだもん」
「わかった。じゃあこの……蟹チョコと交換!」
「蟹チョコって何?」
「蟹が作ったチョコ!」
「蟹が作ったの? 蟹って……」
「僕だよ~!」
「え?」
 混乱している間に蟹は俺のチョコを一つ取って台所に行ってしまった。
「はい!」
「すぐ戻ってきたな!」
「これが蟹チョコ!」
「えーと」
「はい!」
「モガッ」
「ハッピーバレンタイン!」
 さかさかと去っていく蟹、もぐもぐと口を動かす俺。
 蟹チョコはおいしかった。

(2月拍手『蟹チョコ』)
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