光属性優男系騎士の先輩と生意気敬語系後輩(実は弱気)のなんか
「カラスムくん、最近態度変じゃない?」
「……そんなことありませんよ」
「僕が継承者ってわかってから露骨。わかりやすいんだよ、君」
「……」
「どういうつもり?」
「……僕なんかが先輩の側にいたら、先輩が迷惑する」
「なんてことを言うんだ」
「ずっとそう思ってましたよ。今回のことはきっかけにすぎない」
「カラスムくん……」
「どうせ僕なんて強がっちゃいるけど先輩がいなきゃどこにでもいる雑魚魔術師にすぎないんです。騎士団で名を上げることもなかった」
「僕だって、守り役は守る相手がいないとただの壁にすぎないよ。僕たちは二人で一組、そういう風に思ってたけどカラスムくんは違うのかい?」
「先輩、は、ずるい」
「んー?」
「僕なんかと一組なんて。先輩がそう思ってたって周りが許すわけがない」
「そんなことはないよ」
「気休めはやめてください」
「そういう風に自分を卑下するの、君のかわいいところでもあるけど悪いところでもある」
「かわ……かわ?」
「もっと自分に自信を持てとは言わないけど、僕がいいって言ってることくらいは認めてほしいけれどもね?」
「先輩……」
「ま、君がそう思えないんなら無理を言うつもりはないんだ。強要はできない。……時間を取らせたね」
「いえ。……いえ」
去ろうとしたカラスが振り返る。ひらりとした儀礼用の服の裾をカラスムが掴んでいる。
「カラスムくん?」
「先輩」
下を向くカラスム。
「僕なんかが先輩の側にいていいかとかそういうこと、僕はどうしても思ってしまうと思うんです。でも……先輩が僕にいてほしいと言うのなら……いえ……」
カラスが笑う。
「君は僕に必要とされたいのかい?」
「いえ、そんな、そんなおこがましいことは」
「言わなくてもわかってると思ってたけどね。僕はいつも君が必要だよ」
「せん、ぱい」
「いいんだ。君がどう思おうが、君は僕のかわいい後輩だよ。そして僕はその先輩。何でもしてあげられるわけじゃないけど、君の思いはできるだけ叶えてあげたいと思ってる」
「先輩?」
「でも……まだ早い」
じ、とカラスムを見るカラス。
「君の考えてること、全部わかるわけじゃない。僕が思う以上のことを君が思っていることも知ってる。でもね」
カラスは言葉を切る。
「やっぱり、僕にも覚悟というものは必要なんだよ。僕もまだまだ未熟だからね」
そう言ってカラスはカラスムの手をそっと覆って外し、じゃあまた、と言って去って行った。
後に残されたカラスムは自分の手をぎゅ、と握って、はあ、と白い息を吐いたのだった。
「……そんなことありませんよ」
「僕が継承者ってわかってから露骨。わかりやすいんだよ、君」
「……」
「どういうつもり?」
「……僕なんかが先輩の側にいたら、先輩が迷惑する」
「なんてことを言うんだ」
「ずっとそう思ってましたよ。今回のことはきっかけにすぎない」
「カラスムくん……」
「どうせ僕なんて強がっちゃいるけど先輩がいなきゃどこにでもいる雑魚魔術師にすぎないんです。騎士団で名を上げることもなかった」
「僕だって、守り役は守る相手がいないとただの壁にすぎないよ。僕たちは二人で一組、そういう風に思ってたけどカラスムくんは違うのかい?」
「先輩、は、ずるい」
「んー?」
「僕なんかと一組なんて。先輩がそう思ってたって周りが許すわけがない」
「そんなことはないよ」
「気休めはやめてください」
「そういう風に自分を卑下するの、君のかわいいところでもあるけど悪いところでもある」
「かわ……かわ?」
「もっと自分に自信を持てとは言わないけど、僕がいいって言ってることくらいは認めてほしいけれどもね?」
「先輩……」
「ま、君がそう思えないんなら無理を言うつもりはないんだ。強要はできない。……時間を取らせたね」
「いえ。……いえ」
去ろうとしたカラスが振り返る。ひらりとした儀礼用の服の裾をカラスムが掴んでいる。
「カラスムくん?」
「先輩」
下を向くカラスム。
「僕なんかが先輩の側にいていいかとかそういうこと、僕はどうしても思ってしまうと思うんです。でも……先輩が僕にいてほしいと言うのなら……いえ……」
カラスが笑う。
「君は僕に必要とされたいのかい?」
「いえ、そんな、そんなおこがましいことは」
「言わなくてもわかってると思ってたけどね。僕はいつも君が必要だよ」
「せん、ぱい」
「いいんだ。君がどう思おうが、君は僕のかわいい後輩だよ。そして僕はその先輩。何でもしてあげられるわけじゃないけど、君の思いはできるだけ叶えてあげたいと思ってる」
「先輩?」
「でも……まだ早い」
じ、とカラスムを見るカラス。
「君の考えてること、全部わかるわけじゃない。僕が思う以上のことを君が思っていることも知ってる。でもね」
カラスは言葉を切る。
「やっぱり、僕にも覚悟というものは必要なんだよ。僕もまだまだ未熟だからね」
そう言ってカラスはカラスムの手をそっと覆って外し、じゃあまた、と言って去って行った。
後に残されたカラスムは自分の手をぎゅ、と握って、はあ、と白い息を吐いたのだった。
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