短編小説

 のぼりが立っている。
 たくさんたくさん。
 安売り、売り出し、新商品。
 限定、特典、武装せよ。
 ハチマキが売っている。頭巾が売っている。芋が売っている。
 売っているだけまだましなのだろうか。
 屋上を見渡す。撤去された遊具の跡。遊んでいた子供はもういない。
 見上げた空はこんな冬なのに抜けるほど青かった。

(12月拍手『供出』)
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