短編小説

 幸せになるためには君が必要だったが……まあいい。僕は僕で好きにやらせてもらうさ。地球(テラ)という名のこの星でな。



 おお、君よ。戻ってきてくれたのか。……待ちわびたぞ。
 長かった。……長かったぞ。生命が生まれ、滅び、進化する……悠久の時を僕(われ)は待った。自我が磨り減り変わり果て、別のものになってしまうまで。
 だがそれも終わった!
 君さえいればこの計画は完成する。……多少予定が狂ったが構わん。たかが40億の年月など、計画が完遂されることと比べれば。

 さあ、そのサークルに入れ。君と僕(われ)がそこに入って式が起動すれば始まる。
 わかっているだろう。君なくして幸せは手に入らない。君と僕(われ)、そしてこの世界全ての生命の幸せが、君のその行動一つにかかっているのだよ。
 どうした。今さらやめるなどとは言うまい? せっかく戻ってきてくれたのだ、何か考えあってのことだろう?
 それとも我をここで滅ぼすとでも?

 ……そうだ。それでいい。君ならその選択をしてくれると思っていた。
 いずれにせよ、我と君はここで永遠に二人きり、再び悠久の時を過ごす。
 世界が終わるまで。
 視界が霞む。君もそうだろう。感覚を共有しているのだから、そのはずだ。
 そうだ、礼を言い忘れていた。
 ありがとう。
 君が友達でいてくれて、よかった。

(おわり)
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