即興小説まとめ(全37作品)
「友人関係を解消しましょう」
とMが言ったのは、Bが道で10円を拾う1ヶ月前のことだった。Mの言葉を受けたBはわかったと言って頷いた。それからしばらく二人の間に交流はなかった。
Bが道で10円を拾った日はよく晴れた秋の日だった。Bが10円を手に持ってじっと眺めたとき、携帯電話がMからの着信を告げた。
『いい紅茶が手に入ったの、お茶会をしましょう。友人じゃなくてもお茶会はするわよね』
Bは10円をもとのところに戻し、お茶会の誘いを受けた。
玄関先でBを出迎えたMは、ジーパンにTシャツというラフな格好であった。
「いらっしゃい、上がって」
MとBはテーブルに座り、煎れてあった紅茶を飲み始めた。
「バイトを始めたのよ。働くっていうのもなかなかいいものね」
Bは紅茶を飲みながら、頷く。そして、
「友達は、できた?」
と訊いた。
「ええ、できたわ。こんな私と仲良くしてくれるなんて、奇特な人もいたものよね」
Mはスプーンで紅茶をかき混ぜながら、あなたはどう、と訊いた。
「当分いいかな。ちょっとそういうのに疲れてしまったんだ」
Mはカチャン、とスプーンをとりおとす。
それに気付いているのかいないのか、Bは黙って紅茶の水面を見つめていた。
とMが言ったのは、Bが道で10円を拾う1ヶ月前のことだった。Mの言葉を受けたBはわかったと言って頷いた。それからしばらく二人の間に交流はなかった。
Bが道で10円を拾った日はよく晴れた秋の日だった。Bが10円を手に持ってじっと眺めたとき、携帯電話がMからの着信を告げた。
『いい紅茶が手に入ったの、お茶会をしましょう。友人じゃなくてもお茶会はするわよね』
Bは10円をもとのところに戻し、お茶会の誘いを受けた。
玄関先でBを出迎えたMは、ジーパンにTシャツというラフな格好であった。
「いらっしゃい、上がって」
MとBはテーブルに座り、煎れてあった紅茶を飲み始めた。
「バイトを始めたのよ。働くっていうのもなかなかいいものね」
Bは紅茶を飲みながら、頷く。そして、
「友達は、できた?」
と訊いた。
「ええ、できたわ。こんな私と仲良くしてくれるなんて、奇特な人もいたものよね」
Mはスプーンで紅茶をかき混ぜながら、あなたはどう、と訊いた。
「当分いいかな。ちょっとそういうのに疲れてしまったんだ」
Mはカチャン、とスプーンをとりおとす。
それに気付いているのかいないのか、Bは黙って紅茶の水面を見つめていた。