即興小説まとめ(全37作品)

「あの謎とこの謎はこういう関係を持つのかねえ」
考え込むのはUである。
「さあ…」
 対して、Mは曖昧な相づちをうった。Uはそれを意に介する様子なしに喋り続ける。
「あの謎に関しては、真ん中までアの傾向であり、真ん中からイの傾向を持つよねえ。ううん。そして、あの謎とこの謎に共通するのはピンクの薄いウなわけだ…」
「はあ」
 Mは地面に落ちている蛇の脱け殻を一心に見つめている。脱け殻はしっぽの部分が数珠を繋げたようになっており、陽光を受けてきらきらと輝いている。
「ウはあの謎に一ヶ所、この謎に二ヶ所あるが、どのウ同士を繋げるべきかは慎重に考えなければいけない」
 Uは図面を広げて何やら書き込んでいる。
 Mは脱け殻のしっぽ部分をつまみ、そっと持ち上げた。
「ウの特徴を分類せねば繋げられぬよなあ」
 脱け殻は途中でちぎれ、頭の部分が地面に残った。
「あっ」
 残念そうな声を出して地面を見るM。Uは図面から顔をあげずにぶつぶつ呟き続けている。
 Mはポケットからジッパーつきの袋を取り出し、そこに脱け殻を丁寧につめた。

 Uが顔をあげたとき、もうMはいなかった。
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