洋琴抄
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目覚めたヴィル・シェーンハイトは、自らが拘束されていることに驚愕した。身動ぎをする音が聞こえたのか、ぱたぱたとスリッパを鳴らし現れたのが──ルイであったことにも。
──アタシ、昨日……
思い返すと──自らの顔の違和感に、気付いてしまい。
必死に拘束を解こうとする。すると、首筋にぐっと手を置かれ、無造作に何かを注射されるのがわかった。
──何!?嫌、
声を上げる前に、意識は転げ落ちた。
それを幾度も幾度も繰り返され、抗う気力もなくなってきた頃。
自らが無害だと評していたルイは、紙の書類を何枚か持ってきて。
「精神保健指定医の診察の上拘束の必要がないまたは軽減措置をとっても自傷他害の恐れがないと判断できた場合、拘束は解かれます」
無感情に書類を読み上げ。
「ヴィル・シェーンハイト様、あなたには精神保険指定医の診察の結果、入院の可能性があると判断されました。これは精神保険及び精神障害者福祉に関する法第33条1項の規定による保護入院です。
あなたの入院中、治療上必要な場合にはあなたの行動を制限することがあります……まあこれは今していますが。入院や処遇に納得のいかない場合には家族や行政職員に改善指示を請求することが可能です。
あなたの入院中、弁護士や行政職員への面会は制限されませんが、それ以外の方々には病状に応じて一時的に制限することがあります。
療養に専念してください」
この自らへの対応が──ルイの意思などではなく、法の下で行われていることと知り。
言いようのない絶望感を覚え、顰めるにも違和感のある顔を掻きむしりたくなる衝動に腕を顔に近づけようとするが、拘束のせいでそれは叶わなかった。